就活したくない大学生へ。就職との向き合い方をプロがアドバイス

NGを出すビジネスマン

夏のインターンシップの選考が続々と始まってきました。大学3年生の皆さんは、ES(エントリーシート)やWebテスト、面接などで忙しい日々を送っていると思います。

 

しかし、周りが就活準備を進めている一方で、「就活したくないなあ。。」と憂鬱な気分に陥っている人も多いのではないでしょうか。

 

近年は経団連による就活ルールが撤廃されるなど、早期化の動きが顕著になってきています。

 

20卒の就職活動では、「就活解禁」である大学4年生の4月時点で、なんと半分以上の就活生が内定を獲得していました。実質的に、大学3年生の夏インターンから就活が始まっているといっても過言ではありません。

 

サークル・アルバイト・ゼミ・学生団体など念願のキャンパスライフから一転、早々に就職活動がスタートし、困惑している大学生も少なくないと思います。

 

本記事では、就活をしたくないと感じている学生が考えるべきことや、就職との向き合い方を現役のキャリアコンサルタントがご紹介します。

 

就活は考え方によっては、将来のキャリアを考える良い機会です。ぜひこの機会にご自身の考えを深めてみてください。

 

 

就活したくないのはなぜ?理由を振り返ってみよう

businesswoman

まず、大前提知っておいてほしいのは、就活をやりたくないと感じている人は、あなた以外にも多くいるということです。

 

周りと比べて焦る気持ちや、就職と急に向き合わなければいけない現実に直面し、就職活動なんてしたくないと思う気持ちは、ある意味当たり前とも言えます。

 

もちろん、企業に就職するという選択肢以外に他の進路を選ぶこもできますが、なんとなく就活が嫌だという理由で他の選択肢を選ぶのは勿体無いことです。

 

ひとえに「就活をしたくない」と言っても、心の底には様々な要因があるはず。まずは、自分が何故就活をしたくないと感じているのが原因を分析してみてください。

 

以下では、就活に気持ちがのらない主な理由をご紹介します。

働くことに対してネガティブなイメージがある

皆さんは、社会人や仕事、働くといったことに関して、どんなイメージを持っているでしょうか。

 

人によって答えはまちまちだと思いますが、

  • 仕事は辛いもの
  • 社会人になったら自由な時間は無い
  • 家と職場を行き来するだけの毎日

 

こんな印象を抱いている人は少なくないのではないでしょうか。

 

親や社会人になった先輩たちから「仕事が大変」という話を聞き、ニュースでも過労死や長時間労働といった話題が取り沙汰され、何故そんな辛い思いをしてまで働く必要があるのか?と疑問を抱く大学生は多くいます。

 

そもそも嫌なことをするために就活を頑張ろう、とは思えませんよね。

 

しかし、社会人の中には、楽しみながらいきいきと働く人もたくさんいます。

 

一般的にネガティブな話は記憶に残りがちですが、仕事の楽しさや面白さなどポジティブな面も探してみると仕事に対する印象がガラっと変わるかもしれませんよ。

 

家族や親戚、仲の良い先輩など身の回りの人たちだけではなく、もう少し視野を広げて、会ったことのない社会人に会ってみるというのも良いきっかけになると思います。

将来やりたいことが分からない

将来やりたいことがないから就活に身が入らない、というのは就活生のよくある悩みの1つです。

 

結論からいうと、やりたいことが決まっていなくても何も問題ありません。むしろ、やりたいことが明確に決まっていて、そこから逆算して就職活動をしているという人の方が、実感値として少数派です。

 

もちろん、やりたい夢があってそれに向けて努力できるのは素晴らしいことです。でもそれがないからとって自分を責める必要はありません。

 

実は、スタンフォード大学の学者が提唱した面白いキャリア理論があります。

 

「計画された偶発性理論」と呼ばれるこの理論では、「キャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」と提案しています。

 

言い換えると、予想できない将来の計画や目標はほどほどにして、今起きている出来事をベースにキャリアを広げていけばOK!という理論です。

 

将来の夢ややりたいことが決まってなくても、日々好奇心を持ち、努力を続けていればキャリアは自然と開けていくというのです。やりたいことが分からないからと足が止まってしまっている方は、この理論を思い出してみると良いかもしれませんね。

Webテストやエントリーシート、面接が面倒くさい

企業研究や自己分析、ES作成、SPI、適性検査、面接対策など、就職活動がスタートすると手につけなければいけないことが山ほどあります。

 

締め切りに追われながら、準備をしているとあっという間に時間が過ぎ、気づいたら1日が終わっていたという日もあるでしょう。

 

何から手をつけたらいいか分からない、やることが多すぎて終わりが見えないという気持ちから、就活をしたくないと思う大学生は多いです。

 

しかし、厳しい言い方かもしれませんが、面倒なことから目を背けていても良いことはありません。

 

定期試験でどれだけ出題範囲が広い科目があっても、面倒だからと無視して勉強しなければ単位は落としてしまいます。それと一緒で就活でも最低限やるべきことをしなければ、後でつけが回ってきます。

 

最初から完璧を目指す必要はないので、少しずつ自分のできる範囲で手をつけていくよう心がけると良いでしょう。

就活したくないと感じた時の対処法

就活イメージ

就活したくないと感じた時、一番いけないのは、そのまま何もしないことです。漫然と何もせずに時を過ごしても事態は好転しません。

 

なぜ自分がそうした気持ちになるか分析し、具体的な行動をとることが重要です。意外に就活へのモチベーションがアップしたり、自分が本当に進みたい道が明確になるかもしれませんよ。

 

ここでは、就活に前向きになれない時の対処法をご紹介します。

OB訪問などを通じて色々な社会人と会ってみる

そもそも働きたくない、働くことに良い印象を持っていないと感じている人は、できるだけ多くの社会人と会ってみるのがおすすめです。

 

大学時代によく会う社会人というと、家族や兄弟、卒業したサークルやゼミの先輩、バイト先の先輩など限られた人たちだけではないでしょうか。

 

しかし、自分の身の回りの社会人の話だけで仕事に関するイメージを決めてしまうのはとても勿体無いことです。

 

色々な人から、自分が知らない業界や職種の話を聞いたり、仕事の魅力を聞くことで、「この仕事は面白そう」「この人みたいに働けたら楽しめるかもしれない」など自分が興味を持てることが見つかってくるはずです。

実際に企業の中で働いてみる

もう1つ仕事や働くことを知るためにおすすめなのが、実際に企業に入って働いてみることです。

 

そもそも働いたことのない大学生が、どんな業界に行きたいか、何の仕事をしたいかを決めるのは困難といえます。

 

内定獲得のために過去の内定者のESを真似てみたり、面接のためだけの志望動機を作ることに、違和感を感じている人は多いのではないでしょうか。

 

最近では、長期インターンシップのように社員と同じような仕事を経験できる環境も増えてきました

 

こうした環境に飛び込んで実際の社会人経験を積むことで、自身の仕事の適性や本当に興味がある業界が分かってくるはずです。

 

気持ちを割り切って、少しずつ就活を始めてみる

最後は、就活したくないという気持ちを割り切ってできることから手をつけてみる方法です。

 

やる前はあれほど嫌だと思っていた試験勉強も、いざ始めてみると意外に捗った、という経験をした方も多いと思います。行動することでやる気が湧いてくるという人間の習性を活用してみましょう。

 

その際は、あまり完璧を求めずに50点でいいからやってみるというスタンスが大切です。例えば、一気にESを書こうと思うとハードル高く感じますが、今日は志望動機だけ書き切ろうとハードルを下げれば、取り組みやすくなるはずです。

それでも就活をしたくない!就職以外にはどんな選択肢がある?

悩むビジネスマン

中には、それでもどうしても就活をしたくないと思う方もいると思います。ここでは就職以外の選択肢をご紹介していきます。

 

実際、就職せず他の道に進みたいと考えている方もいるかもしれません。

 

どのような選択をするにせよ、大事なのは、どうしてその結論に至ったのかという点です。就活したくないという理由だけで、他の選択のデメリットに目を向けなければ、いずれ後悔することになるかもしれません。それぞれのメリット・デメリットを確認しましょう。

①休学・留年をして学生期間を延長する

休学や留年をして学生生活を延長するケースは珍しくありません。大学に在籍していれば、翌年の就活も新卒扱いになるので、就活上デメリットになることはほとんどないです。

 

重要なのは、休学・留年中にどういった経験を積むかです。ただ、これまでの学生生活の延長であれば、単に学費がかかっただけで終わってしまいます。

 

しっかりと目的意識を持ち、その期間中に何をしたいのか明確にしましょう。

②大学院・専門学校へ進学する

研究したい分野や学びたい科目がある場合、大学院や専門学校に進学するのも1つの手です。

 

大学院卒は、学部卒と比べて新卒入社時の給与が高い一方で、社会人経験という面で2年ほど遅れをとることも理解しておきましょう。

 

また、院卒の就活では、大学卒業時よりもさらに詳しく「何を勉強してきたのか」「なぜその大学院へ行こうと思ったのか」という点を聞かれます。意思を持って進学することが重要です。

③フリーターになる

趣味など好きなことを続けたり、やりたいことが見つからないという理由から、フリーターを選ぶ人もいます。フリーターであれば、会社員と比べて、仕事の責任も少なくシフトも組みやすいため、時間に融通が効きやすい面があります。

 

しかし、同時に「生涯賃金が少なくなる」「雇用が不安定」「社会的な信頼が低い」というマイナスの面にもしっかり目を向ける必要があります

 

メリットとデメリットを比較した上で、なぜ就職ではなくフリーターを選ぶのか明確にしましょう。

④起業する・フリーランスになる

最近は働き方が多様化してきて、起業・フリーランス(個人事業主)も珍しいものではなくなってきました。

 

実際、在学中に起業する学生起業家やアルバイトではなくプログラミングやブログで稼ぐ大学生の話もよく耳にします。

 

この場合は、自力でお金を稼ぐスキルがあるかという点を自問してみましょう。

 

また、将来的に独立を果たすことが目的であったとしたら、実は一度会社員経験を積んでからの方が成功確度が高いかもしれません。

 

このように就職以外にも様々な選択肢がありますが、大事なのはどの選択をするにしろ、「自分なりの意思を持つこと」というのを忘れないでください。

夏からインターンがスタート、やっぱり参加しないと就活に不利?

メモをとる男子就活生

サマーインターンが幕を開けました。

 

就活が早期化している影響から、今やほとんどの企業がインターンを行なっています。大手人材会社のアンケートによると、9割以上がインターンに参加する予定だと答えています。

 

リクルート就職白書2019によると企業と学生へのインターン調査では、下記の結果が出ています。

  • そもそも採用を目的としてインターンを実施している会社・・・26%
  • インターンシップと採用選考が何らかの形で影響があったと感じた学生・・・67.8%

 

上記のデータから、インターンと本採用は少なからず関係があるといえるでしょう。

 

また、この数字は年々増加傾向にあり、経団連から政府主導の就職スケジュールに変更となる21卒の就活ではよりインターンを通じた早期学生獲得の動きが顕著になることが予想されます。

 

しかし、学生へのインターンシップ参加企業への入社予定状況を質問したデータでは、「インターンシップ参加企業に入社する予定」と答えた学生は、37.3%でした。

つまり、6割以上の大学生がインターンシップ参加企業には入社をしていないことになります。

 

インターンは就活で重要な位置付けといえますが、必ずしもインターンに行かなければ内定を獲得できないわけではないようです。

就活のゴールは内定獲得ではない。焦らず、自分のキャリアと向き合おう

point

これまでの学生生活から急遽就活モードに入り、周囲の変化に慌ててしまうこともあるかと思います。

 

しかし、だからといって自分の意思を持たず、周りが良いといった会社の選考を受けるのはおすすめしません。就活のゴールは内定獲得ではなく、納得のいく働き方を実現することです。

 

就活をしたくないという気持ちもあるかもしれませんが、せっかくならこれを機に、就活という枠の中だけでなく、自分がどういう人生を過ごしたいか考えてみてはいかがでしょうか。

 

皆さんの就職活動が後悔のないものになることを願っております。

 

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