私たちの生活を陰ながら支えてくれる「電力」
電力業界は、みなさんの住む地域がどこであれ、〇〇電力という企業の名前を一度は聞いたことがあるはずの身近な存在だと思います。
日本は化石燃料に恵まれない一方で、エネルギー消費は世界トップクラスであるため、日本の産業発展において電力業界は縁の下の力持ちと言えます!
また近年では、東日本大震災以降の原子力発電所の再稼働問題や、環境に優しいクリーンエネルギーの開発など、電力業界は度々ニュースでも取り上げられがちです。
今回はそうした電力業界の動向や各社の特徴、業界ランキングまで業界全体に興味を持ち、深く理解できるような、業界分析をしていきます!
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この記事の目次
電力業界の概要・市場規模や今後の動向は?
電力業界の市場規模は??エネルギー自給率の低さが課題!?
日本における電力販売量は、2015年の資源エネルギー庁の算出では8,415億kWhでした。
日本の電力総消費量は、中国・アメリカ・インドに次いで世界で第4位、一人当たりの電力消費量もカナダ・アメリカ・韓国に次ぐ第4位となっています。
こうしたエネルギーの消費大国である一方、日本におけるエネルギー自給率は2010年には19.9%だったものの、2014年には6.0%にまで減少してしまっています。
どうしても資源に恵まれない日本でのエネルギーの自給は高コストになりやすいことに加え、電力業界は2011年の東日本大震災以降の原子力発電事業の見直しから、大きく苦戦を強いられているのが現状です。
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電力業界の近年の動向は?電力自由化や節電ブームの影響は!?
2006年から2010年までは毎年発電量は増加したり減少したりと不規則的な変化をしていましたが、2011年以降は一貫して発電量は減少しています。
これは、2011年に発生した東日本大震災以降の節電ブームや電力コストの増加に伴って電気料金の値上げが起こったことが要因と考えられます。
実際に、資源エネルギー庁によって行われた調査によれば、東日本大震災以前の2010年と震災以降の2014年では、家庭向けの電気料金は、1kWhあたり20.4円から25.5円とおよそ25%、産業向けでは13.6円から18.9円と約39%の値上げが行われました。
特に2006年にはおよそ3000億kWhほどあった原子力発電による発電量が2015年には、川内原発の再稼働もあったもののほぼゼロに等しくなっている、という点が大きな変化と言えるでしょう。
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電力業界ってどんな企業がある?各社の売上高・営業利益・特徴など!
北海道電力(北電)
・販売電力量 285億hWh
・売上高 7,241億円
・営業利益 431億円
他の企業に比べて閉鎖的な印象が強いのが北海道電力です。
しかし逆に言えば、北海道では圧倒的な影響力を持ち、安定した基盤を持っていると言えます。
また、売上高や営業利益、経常利益、純利益がここ3期連続で右肩上がりと今後の成長が期待できる企業でもあります。
北海道の長期インターンシップまとめ
東北電力(東北電)
・販売電力量 750億hWh
・売上高 2兆0,955億円
・営業利益 1,897億円
東北6件と、新潟県に電力供給を行なっています。
宮城県の女川市と青森県の東通村に原子力発電所を4基保有しています。
2011年の東日本大震災の影響を強く受け、2013年に火力発電の復旧は完了した一方、原子力発電所の再稼働の見通しは立っていません。
東京ガスとの大口向けの電力販売に関して合意し、北関東地域への顧客拡大を図っています。
石炭とガスによる発電が全体の7割を占めており、近年ではLNG(液化天然ガス)による発電の促進を行うなど、環境問題への対応の姿勢も特徴的です。
東京電力ホールディングス(東電)
・販売電力量 2,470億hWh
・売上高 6兆0,699億円
・営業利益 3,722億円
言わずと知れた業界最大手企業です。
しかし、東日本大震災以降の福島原子力発電所での事故を契機に経営が悪化しました。
東京ガスとライバル関係にあり、中部電力との燃料調達・発電所の新規設置に関して合意するなど新たな基盤形成を進めています。
東京都の長期インターンシップまとめ
北陸電力(陸電)
・販売電力量 285億hWh
・売上高 7,241億円
・営業利益 431億円
富山・石川・福井の北陸3県と岐阜の一部地域への電力供給を行なっています。
他の電力会社と同様に火力発電による発電の割合は高いものの、山地の地形を生かした水力発電の割合も25%ほどとかなり高く、それゆえ電気料金も比較的安めに設定されています。
原子力発電所は志賀原発に2基あるものの、東日本大震災以降は稼働停止し再稼働も見通していないのが現状です。
中部電力(中電)
・販売電力量 1,219億hWh
・売上高 2兆8,540億円
・営業利益 2,849億円
愛知・三重・岐阜・長野・静岡に電力を供給しています。
トヨタなどの大手製造業企業への販売も行っています。
浜岡原発に3基保有しているものの、大震災以降に稼動停止が続いています。
電力自由化で北関東地域への販売網拡大を見込み、東京電力との燃料調達・発電所の新規設置における業務提携を行なっています。
関西電力(関電)
・販売電力量 1,275億hWh
・売上高 3兆2,459億円
・営業利益 2,567億円
東京電力に次いで業界第2位に位置します。
原子力発電の割合が高く、原発保有数も9基とこれも東京電力に次いで2番目に多い数字となっています。
関西の長期インターンシップまとめ
四国電力(四電)
・販売電力量 257億hWh
・売上高 6,540億円
・営業利益 247億円
四国地方の4県に電力を供給する、四国経済界の大きな基盤です。
かつては原子力発電の割合が30~40%程度と非常に高いのが特徴的でしたが、東日本大震災以降は原子力発電は縮小し、伊方原発の3基のうち、1号機は廃炉となりました。
3号機では使用済み燃料を再利用するプルサーマルを導入し、5年ぶりの再稼働へ向かっています。
中国電力(中国電)
・販売電力量 567億hWh
・売上高 1兆2,315億円
・営業利益 500億円
中国地方の5県と周辺諸地域に電力供給を行なっています。
石炭による火力発電の比率が高く、原子力発電の割合は低くなっているのが特徴です。
しかし現在では、島根原発の2号機の再稼働と、完成間近の3号機の早期の稼働開始を目標としています。
また、電気卸売業者のJ-POWERとも共同で石炭ガス化技術の開発を推進しているのも特徴です。
九州電力(九電)
・販売電力量 792億hWh
・売上高 1兆8,356億円
・営業利益 1,202億円
沖縄県を除いた九州各県へ電力供給を行なっています。
玄海原発・川内原発の原発5機を保有しています。
原子力発電の割合が高かったものの、福島第一原子力発電所での事故をきっかけに全機操業停止しました。
しかし、川内原発は2015年の秋に全国の原子力発電所に先駆けて再稼働しました。
現在では、川内原発に加えて玄海原発の再稼働も目指しています。
福岡の長期インターンシップまとめ
沖縄電力(沖電)
・販売電力量 76億hWh
・売上高 1,822億円
・営業利益 72億円
沖縄本島と周辺諸島へ電力供給を行なっています。
原子量発電所を保有していないのが大きな特徴です。
販売電力量のうち、およそ8割が民間向けと非常に割合が高い一方、LNGを用いた火力発電所の開設を開始し、企業向けの販売をさらに拡大することを目指しています。
(※今回あげた数字は全て2016年のデータを使用しています)
気になる企業が長期インターンシップ募集していなかったら?
就活生必見!!電力業界のランキング!業界最大手はやはり東電?
売上高ランキング!人口が多い地域が有利?
1位 東京電力HD 6兆0,699億円
2位 関西電力 3兆2,459億円
3位 中部電力 2兆8,540億円
4位 東北電力 2兆0,955億円
5位 九州電力 1兆8,356億円
やはり人口が集中する東京・神奈川を押さえている東京電力HDが売上高トップとなっていますね。
北海道や東北地域など冬の寒さが厳しいところでは冬に暖房器具の使用が多くなったり、反対に沖縄など暑さの厳しい地域では夏の冷房器具の使用頻度が高くなります。
こうした季節的な電力消費量の変動はあるものの、一年を通しての電力消費量の総計は概ね人口の大きさがそのまま反映されると考えられます。
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営業利益ランキング!燃料調達のコストカットが鍵!?
1位 東京電力HD 3,722億円
2位 中部電力 2,849億円
3位 関西電力 2,567億円
4位 東北電力 1,897億円
5位 九州電力 1,202億円
こちらも東京電力HDがトップになっています。
原子力発電が本格的に稼働できていない現在では、どうしても以前までのやり方では思うような利益が出せなくなってきています。
そんな中でキーポイントとなるのが、「燃料に関わる費用をなるべく抑える」ということです。
もともと原子力発電で生産が期待されていた部分を、LNG(液化天然ガス)を用いた火力発電に急激に切り替えたことで電気料金の値上げが起きてしまいました。
こうした状況に対して、原発再稼働にだけ期待するのではなく、より安価な石炭による火力発電を部分的に増やしたり、より効率的な発電設備を開発することが必要です。
具体的な対策例としては、先ほど述べたような東京電力と中部電力との間で交わされえた、燃料調達や新規設備開設に関する業務提携などがあります。
大学3年生はインターンシップをすぐに始めたほうがいい
平均年収ランキング!東京電力を抑えて1位になったのは?
1位 中部電力 779万円(平均年齢43歳)
2位 沖縄電力 750万円(平均年齢38歳)
3位 東北電力 733万円(平均年齢43歳)
4位 東京電力HD 733万円(平均年齢43.3歳)
5位 中国電力 719万円(平均年齢42歳)
意外にも東京電力ではなく中部電力が1位となりました。
トヨタなどの大企業を顧客に据えているため、他社と比べても安定的で強い地盤を持っていること
また中部電力とともに注目したいのが、沖縄電力です。
平均年齢が38歳で平均年収が750万円は業界の中ではかなり高額な年収となると思います。
(※上記のデータは四季報2017年度版より)
インターン面接に受かる人・落ちる人の違い。合否の差は何?
就職活動の指針!就活生が気になる採用までの道のりは!?
就職活動のスケジュール!!セミナーってなに??
東北電力の例を挙げると、就活生が進む採用までの道のりは以下のようになります。
プレエントリー
↓
エントリーシート提出
↓
能力・適性検査
↓
面接
↓
内々定
また、採用選考とは別に電力業界各社は自社説明会(セミナー)を年に何度も行なっています。
こうしたセミナーは首都圏だけでなく、東北電力なら仙台、中部電力なら名古屋・大阪など日本各地で行われているので、「電力業界には興味があるけど、わざわざ東京まで行くのは大変」という地方の就活生のみなさんも実際に自分の耳で企業の説明を聞くことができます。
またこうしたセミナーに加えて、電力業界ではインターンシップも随時実施しています。
このインターンシップでは実際に業務の一部を経験したり、普段は見ることのできない発電施設の裏側を見たりと、インターンシップ以外ではなかなか体験ができます。
実際に業務に触れることで、就職活動へのモチベーションになったり、逆に思い描いていた仕事と違えば就職活動の方向転換をする機会にもなるので、インターンシップにはぜひ参加してみると良いと思います。
面接では何を聞かれる?電力業界をもっと深く知ろう!
電力業界の採用面接で想定される質問例を挙げてみます!
・志望動機
・学生時代に頑張ったことは? 特にチームで協力したことは?
・学生生活でのトラブルやその時の解決法
・3分自己PR
・当社の1番の課題はなんだと考えているか?
学生自身の経験やパーソナリティーに関するものから、企業・業界への理解度を問うものまで様々です。
特に最後の「当社の一番の課題」については多くの就活生が悩む質問なのではなのではないかと思います。
例えば、2016年に家庭や商店などの分野での電力小売販売の自由化が行われたことに対する対応などをしっかりおさえておくとスムーズに答えられるのではないかと思います。
この自由化によっておよそ8兆円規模の新たな市場が解放されました。
これは市場規模が20億円前後であることから、この自由化のもたらす影響の大きさがわかります。
業界研究と企業研究の違いは?具体的な研究事例を紹介!
まとめ
電力業界の業界研究はいかがでしたか?
電力自由化に伴う各社の対応策などは様々で、本来特徴的だった「地域性」というフレームを破って、新たに地域間での結びつきも出てきているので、今後目の離せない業界の一つだと思います!
また電力業界で働くことは、「地域経済の基盤を支える」ことであったり、「市民生活をより安心・安全なものとする」ことにも繋がる大きな仕事です。
少子高齢化が進み、日本産業全体の雲行きが怪しくなっている今日だからこそ、縁の下の力持ちとして活躍する電力業界にも注目してほしいと思います。
ですが、「文字で見てもよくわからないよ!」という人は、是非とも各社の説明会やインターンに足を運んでみるとより身近に感じられるのではないかと思います!
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