就職活動中に就活生が目指しているのは、何よりも「内定」の獲得でしょう。でも実は多くの学生が、「内々定」を獲得したことでゴールに到達したと思い、喜びを爆発させていたりもします。
就活の現場でよく聞く内定と内々定という言葉。ここにはどんな違いがあるのでしょうか。知らないままにしておくと、場合によっては大きなトラブルにつながるケースもある重要なワードです。
ここでは、内定と内々定の違いを解説していきます。この機会にしっかりと意味を理解し、しかるべき対応をしていけるようにしたいですね。
今さら聞けない?就活開始から内々定獲得までの流れを解説
この記事の目次
内定と内々定は意味が違う?出される時期に注目しよう!
内定と内々定、一番簡単に表現するならば、新卒の場合は10月1日より前に出るのが内々定、後にでるのが内定、となります。内定も内々定も、意味するところは「あなたを採用します」という意志表明であることに変わりはありません。
しかし、日本の就活市場においては、経団連の指針により、10月1日より前に内定は出してはいけない。というルールがあります。だから多くの会社では、10月1日に内定式を行うようになっているんですね。しかし、10月まで結果が出なければ、企業側も学生側も就活を辞めることができずに疲弊してしまいますよね。
そういった事態を防ぐために作り出されたのが、内定の内定、即ち内々定なのです。
2019年卒の就活開始時期は6月1日に決定!就活まで何をすればいい?
内々定は、内定の約束。契約や法的な拘束力は存在しません。
つまり、内々定は10月1日になったら内定を出しますよ、という約束のようなものなのです。
「約束することを、約束する」というちょっと抽象的な立ち位置になってしまっている言葉ではあるのですが、実際、内々定には契約や法的な拘束力は存在しません。あくまでも口約束的な感覚です。
ですので、学生側は内々定が出ていたとしても、普通に他の会社に対して就職活動を継続することができますし、企業側も内々定を出したからといって油断して良いわけではありません。
就活においては、終われハラスメント、すなわちオワハラや、内定辞退、などといった言葉をよく耳にしますが、これらは通常、この内々定のタイミングで騒がれる問題なのです。
内定直結インターンッシップが熱い?人気の内定直結型のインターンシップ募集まとめ
内定は労働契約。正式な労働契約として認められます。
それに対して内定は、「始期付解約権留保付労働契約」と呼ばれる正式な労働契約であり、企業が内定付与した後、学生が内定承諾した時点で、企業側と学生側で雇用関係が成立しています。
双方の合意があって初めて結ばれるものになりますので、原則として、学生側は内定を承諾した段階で就職活動を終えることになります。もちろん企業から内定を出されても、その承諾を保留して、承諾していないのであれば、内定辞退は可能です。実際に就活がスタートすると、複数の企業から内定をもらう、通称:内定ホルダーという就活生が現れます。
内々定は何社も貰えるけれど、内定は一社のみ、と考えるとわかりやすいですね。学生側にとっては、内々定がゴールになっているケースが多いのですが、企業側にとってはこの内定承諾が本当のゴールと言えるでしょう。
内定後は、契約が結ばれ、法的拘束力を持つ関係になるわけですから、その後の行動には気をつけなければなりません。あまりに誠意のない対応をした場合によっては訴訟問題などにも発展するケースもありますので、誠意をもって対応するようにしましょう。
内定後もインターン参加可能!他社内定者も歓迎している長期インターンシップ情報まとめ
内定(内々定)の取り消しってありえるの?その原因は?
さて、内定と内々定の違いについて解説しましたが、怖いのが、内定獲得した後に起こるかもしれない内定(内々定)の取り消しです。よっぽどのことがない限り、内定取消しは起こりませんが、それでも毎年ゼロではありません。一体どんな場合に、この取り消しという事案が発生するのでしょうか。
ここからは内定(内々定)の取り消しに関してみていきましょう。
内定承諾書の送付状の正しい書き方と例文まとめ
内定取消しケース:学生側に原因がある場合
学生側が原因として内定が取り消されるケースは大きくわけて3つです。
ケース1:内定者の大学の単位が足りず、卒業ができない場合
1つ目が、学校を卒業できなかった時。新卒採用では多くの場合、4月1日入社を原則としています。
そのタイミングで大学の単位などが足りておらず、卒業ができていない状態となる場合には、内定を取り消されてしまうのです。しかも原因としては学生側にあるため、企業側に苦情を申し立てることもできません。大学4年生の段階で、卒業までの単位がギリギリ、という人は人一倍気をつけておきたい事案ですね。
ケース2:内定者から選考中に聞いていた話に嘘があったと発覚した場合
2つ目が、就活の際にウソの情報を伝えていた場合。これは1つ目とも多少関係しています。企業側としては、卒業する、と聞いていたから内定を出したのに、それがウソで、卒業できなかったわけですから、内定を取り消すわけです。
他にも、○○の資格を持っている、○○の経験があるなどと面接の際には言っておきながら、実は持っていませんでした、経験したことはありませんでしたとなると、これも内定取り消しの対象となります。○○の資格があるからこそ、企業は内定を出したのに、実はそれがウソだとしたら、採用する意味はありませんからね。
就活の面接では、自分を少しでもよく見せるためついつい話を盛ってしまう学生もいますが、それにはリスクがあることも認識しましょう。
ケース3:内定者が事件など、何らかの問題を起こした場合
3つ目が、入社日までに、何らかの問題行動を起こした時。あまりケースとしてはないでしょうが、警察沙汰になるような事件を起こしてしまった場合は、内定を取り消されることがあります。内定前後などは関係なく、当たり前の話ではありますが、節度ある行動を心がけたいですね。
これらの取り消しに関して、内々定の時であればその取り消しのみで済みますが、内定後に問題となった場合は注意が必要。先ほども説明した通り、内定をした後はすでに企業との契約、雇用関係が成立している状態です。あまりにも悪質な場合は、訴えられて、などということもありえない話ではありません。
内定辞退は電話/メール?正しい連絡マナーを解説
内定取消しケース:企業側に原因がある場合
企業側が原因として内定が取り消される場合は、多くの場合が企業側の経営不振が原因となります。新しい人を雇用して育てていく体力がなくなった時、これらが起こるケースがあるのです。最近ではめったに耳にしませんが、不景気の時などは大きなニュースになることも。
こちらも学生側と同じく、内々定の時には特に罰則は存在せず、内定後は罰則の対象となります。
ただ、企業側の場合、よほどのことがない限り、内々定の取り消しすらも行うことはありません。なぜならば、例え罰則がないと言っても、内々定を取り消したことが学生の間に知れ渡るとどうでしょうか?現在エントリーをしている人や、今後エントリーをしようとしている人、もしかしたら新卒で縁がなくても、5年後10年後に中途採用するかもしれない人、それらすべてに悪い印象を与えてしまいます。
こういった悪いニュースは一気に広がりますし、一度下がった企業の評判や信頼はなかなか回復することができません。
そうなってはその会社の採用活動は今後成功することがとても難しくなってしまうでしょう。ある意味採用は、人気商売的な要素も多分に含まれておりますので、こういったことは絶対に避けなければならない事案なのです。近年はSNSなどで、すぐに情報が拡散してしまいますからね。企業としてもナイーブになって取り組んでいるところが多いでしょう。
内定後の過ごし方が大事!内定者が入社までにやっておくべきこと
まとめ
内定と内々定の違い、そしてできる限り避けたい内定(内々定)の取り消しに関してみてきました。
オワハラなどの新しい問題も起こり始めている就活戦線。言葉の意味をしっかりと理解していないと、思わぬ勘違いから納得のいく就活を行えなくなってしまったり、後になってから後悔する、というような事態も起こってしまうかもしれません。
知識さえあれば避けられた問題は後悔も大きくなりがち。今のうちにしっかりと知識を蓄えておきましょう。
内定や内々定は、企業から与えてもらうものと考えている人も多いかもしれませんが、決してそんなことはありません。どちらもお互いの合意があって初めて成立するもの。そういう意味では、就活生の皆さんも毅然とした態度で、企業と対等な立場に立ちながら、内定や内々定を扱っていくようにしなければなりません。
そうすることで、あなた自身の就活に対する考え方や取り組み方も変わっていくでしょう。就活を単なる内定をとるためだけの行為とせず、しっかりと学びのある時間とする。そうすればあなたの人生経験はより一層深いものになるはずです!
後悔しない企業選びをしよう!実際に気になる業界・企業で働ける長期インターンシップに参加しよう!