損害保険業界の業界研究!3メガ損保って?生保との違いは?

私たちは日本という国で生活している以上、地震や台風といった自然災害とは切っても切れない関係にあります。

また、私たちは日常的に自動車を運転したり乗車したりしますが、こうした運転という何気ない行為自体も実は加害者にも被害者にもなる危険性を含んだものなのです。

つまり私たちの生活は一見すると平穏なものでありながらも、実はあらゆる危険にさらされているのです。

ですが、毎日毎日万が一のことを想像して生活したくないですよね。そこでそうした事態に備えるために「保険」というものがあるのです。保険とは緊急時だけでなく、普段の生活でも私たちを支える力強い存在なのです!

今回は、そんな私たちの生活が不測の事態によって脅かされてしまったときに、私たちの生活を守ってくれる、万が一に場合への不安を軽減してくれる、そんな損害保険業界について業界研究をしていきます!

 

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そもそも損害保険ってなに?生保との違いは?仕組みってどうなってる?

損害保険と生命保険ってどう違う??違いを大分析!

私たちの生活や私たち自身を、アクシデントやトラブルから守ってくれるのが保険です。

ですが、保険と一言で言っても「何を守るものか」、「何から守るものか」などによって多種多様な保険サービスが今日では提供されています。

そうした様々なサービスが展開される保険は大きく分けて、「損害保険」と「生命保険」の2つに分類されます。

損害保険

損害保険とは大まかに言うと、「モノ」を守るための保険です。ここでは、具体例として代表的なものを3つあげてみます!

自動車保険:自動車事故が発生した際に、搭乗者や第三者に対してケガを追わせてしまった場合や、車などに生じたキズや凹み、破損などの損害に備えるための保険です。一般に自動車賠償責任保険(通称自賠責保険と言います)と任意保険に分けられます。自賠責保険は強制的に加入しなければならないもので、任意保険は強制ではないものの自賠責保険だけでは自己負担が補えない事態に備えて加入します。

火災保険:火災保険はマンションや一戸建てといった「不動産」とその中に置かれている家具などの「動産」に対してかけられます。その名の通り保有する家屋が火災被害に遭った時や、水漏れ、盗難などの被害に遭った時の損害に備えるのが火災保険の役割です。

旅行保険:旅行に行った際に自分が怪我をしたり、反対に誰かに怪我を負わせたり、携行品の盗難にあった場合に備えるための保険です。また、航空機が遅延したことなどによる延泊費の追加分などを負担してくれるなど特殊な機能をもつ保険もあります。

 

生命保険

生命保険は損害保険に対して、「ヒト」に対する保険と言えます。

私たちには病気や怪我など身体上のアクシデントがつきもので、そうしたアクシデントによって突然今まで通りの生活が送れなくなったり、死亡してしまう可能性を抱えてます。

例えば、入院や手術、先進医療を受けなくてはならなくなった際に、負担の一部を給付金として補助してくれる「医療保険」や、万が一加盟者がなくなった際に残された家族が生活を維持したり、お葬式などの負担を軽くするためのものとして「死亡保険」などがあります。

 

生命保険業界の業界研究!仕事内容や生保の仕組み、今後は?

損害保険会社の儲けの仕組み・保険料ってどう決定する?

損害保険会社は一般に保険契約者から保険料を集め、被保険者や被保険物に対して損害が生じた際に保険金が支払われます。

損害保険会が利益を出せるのは、「顧客から集めた保険金」と「資産運用額」の合計が「顧客への保険金」と「事業コスト」の合計よりも高くなった時です。

つまり、損害保険会社の収益源は、保険料と保険金の差額と資産運用額の二つに分けられます。

 

顧客からの保険料から、顧客に支払う保険金や代理店手数料などのコストを差し引いて生じる利益を保険引受利益と言います。これは損害保険会社のコアな収入源である一方、日本という自然災害のリスクを抱える地域性によって各社の収入がブレやすかったり、保険料が高めに設定される理由となります。

また、資産運用によって得られる利益をそのまま資産運用利益と言います。これは保険料として預かったお金の一部を元手にして、不動産の取引や株式・債権の運用によって利益を稼ぐというものです。

これは損害保険会社における本業とは離れた財務活動の一部であるため、保険引受利益よりは少なめの利益となっています。

 

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損保業界の全体像!市場規模や主な企業を紹介!

損保業界の市場規模・メインとなる保険は?

2016年の正味収入保険料は8兆2,438億円となっています。業界全体の動向としては2006年から2010年にかけて市場縮小の傾向にありましたが、2010年から2015年までは継続して市場拡大の傾向にあり、2016年は2015に比べて僅かに減少という結果になりました。

業界全体での保険収入の核となるのが自動車関連のサービスです。自動車保険が全体の約50%、自動車賠償責任保険(通称:自賠責保険)が約10%と自動車関連だけで全体の6割近くを占めているということになります。

自動車は運転者自身が事故の被害者にも加害者にもなりうる、不確実性やリスクを大きく含んだものであると同時に、日常生活に欠かせないものであるため構成比が高くなっています。

損保業界の主な企業と各社の特徴・就活生に人気の企業は?3メガ損保って何?

損害保険業界の企業を考える上で押さえておかなければいけないのが、「3メガ損保」の存在です。具体的には、「東京海上ホールディングス」「MS&ADインシュアランスホールディングス」「損保ジャパン日本興亜ホールディングス」の3つです。日本における損害保険の収入保険料の9割以上がこの3メガ損保によるものとなっています。

①東京海上日動火災

従業員数はおよそ1万7,000人で正味収入保険料は約2.1兆円の業界最大手企業です。

国内で5万にものぼる代理店を経由したサービスの提供を行っています。

また就活生からの人気も高く、キャリタス就活が実施した「就職希望企業ランキング2018」では第8位にランクインしました。(ちなみに2017年は第2位と安定した人気を誇っています。)

 

②三井住友海上火災

MS&ADインシュアランスグループ ホールディングス株式会社の子会社で、

従業員数は1万4,000人で、正味収入保険料は約1.5兆円となっています。

こちらも東京海上日動火災同様、就活生から人気の高く同ランキングでは2017年は第9位、2018年は第21位となっています。

海外事業にも積極的で、マレーシアやインドネシアなど東南アジア諸国やイギリスなど幅広く事業を拡大しています。

 

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③あいおいニッセイ同和損保

三井住友海上火災と同じく、MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社の子会社です。

従業員数は1万3,000人で、正味収入保険料は約1.2兆円となっています。

④損保ジャパン日本興亜

2014年に損保ジャパンと日本興亜が合併して成立しました。

従業員数は約3万3,000人で、正味収入保険料は約2.2兆円となっています。

最近ではワタミの介護事業買収も成立するなど多角化が進んでいます。

 

損保業界ランキング!売上高・営業利益・平均年収!業界の動向は?

正味収入保険料ランキング

グループ編

1位 東京海上ホールディングス              3兆2,655億円

2位 MS&ADインシュアランスグループホールディングス  3兆0,789億円

3位 損保ジャパン日本興亜ホールディングス       2兆5,521億円

単体編

1位 損保ジャパン日本興亜   2兆2,184億円

2位 東京海上日動火災     2兆1,283億円

3位 三井住友海上火災     1兆5,074億円

4位 あいおいニッセイ同和損保 1兆1,920億円

純利益ランキング

グループ編

1位 東京海上ホールディングス           2,545億円

2位 MS&ADインシュアランスホールディングス  1,815億円

3位 損保ジャパン日本興亜ホールディングス   1,595億円

単体編

1位 東京海上日動火災    3,016億円

2位 損保ジャパン日本興亜  1,262億円

3位 三井住友海上火災    1,139億円

4位 HCC          414億円

注目すべきなのは、国内系の大手3グループの傘下にある企業に、アメリカ系のHCCが割って入っているところです。このHCCは東京海上日動が2015年に買収完了し、子会社化したアメリカ系の*スペシャリティ保険グループです。

*スペシャリティ保険:一般の保険サービスではカバーできない範囲に対する補償機能を持った専門性の高い保険のことです。芸能人やプロスポーツ選手など収入の不安定な職種の人の給与保証や、会社役員への責任賠償を補うための保険などもあります。

 

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平均年収ランキング

1位 東京海上ホールディングス             1,347万円(平均43.7歳)

2位 MS&ADインシュアランスグループホールディングス 1,138万円(平均46.9歳)

3位 損保ジャパン日本興亜ホールディングス               1.131万円(平均43.1歳)

4位 東京海上日動火災                 891万円(平均41.7歳)

5位 三井住友海上                   747万円(平均40.5歳)

平均年齢に多少のばらつきはありますが、メガ3損保が圧倒的な平均年収額を誇っています

。特に平均年収が1000万円を超えるのは、全就業人口のわずか上位5%ほどであることからいかに上位3社の給与が高額であるかがわかると思います。

損保業界の動向は?若者の自動車離れはどう影響する?

先ほど述べたように、損害保険の収入保険料のおよそ6割は自動車関連の保険です。

ですが、近年は若者の自動車離れが深刻化したり、そもそも今後人口が減少していくという見通しのため、自動車保険は先細りになっていくとみられています。

 

また、日本を自然災害から完全に切り離すことはほとんど不可能なので、あまり火災保険などに重きを置いてしまうと収入は不安定になってしまいます。

こうしたことを背景に、各社が大型買収を進めたり、海外市場を開拓していくことで収入源を多角化し、安定的な経営を目指しています。

また先ほど述べた自動車保険に関して付け加えると、自動ブレーキシステムといった新たな安全システムの開発が進むことで、事故率の低下につながり、保険引受利益の増加に繋がるのではないかと思います。

 

就活の第一歩を踏み出そう!未経験者歓迎のおすすめインターンシップ求人情報まとめ

就職活動の展望・インターンと内定の直結性は?就活生に求められる能力は?

総合職と専門職の違いってなに?

損害保険業界全体の傾向として、新卒採用は総合職と専門職(スペシャリスト)の2つに分けて募集されることが多くあります。

総合職とは複数の部門の業務を幅広く担当し、そうした中で業務全体の専門知識を備えていきます。

一方、専門職は、*アクチュアリーや資産運用など特定の部門に特化し、より専門性の高い業務に従事していきます。

*アクチュアリー:確率・統計の手法を用いて不確定な事象を扱う数理のプロフェッショナルです。その活躍フィールドは商品開発、リスクマネジメント、資産運用、経理など多岐にわたります。

採用までの道のり!まずはインターンで先手必勝!!

損保業界の就活生からの人気は非常に高く、企業によっては採用倍率が数十倍にもなるところもあります。

そのため学生同士で激しい競争が予想されます。ですが、実際のところ学生の中にも損害保険会社が実際にはどういった仕事をしているか、生命保険との違いは何か、などを明確に答えられる人はそう多くはありません。

また採用面接も複数回にわたることも多いため、就活生自身のパーソナリティーから損害保険への理解や他社との比較を問うような質問も予想されます。ですから、就活生がまずすべき準備は「知る」という段階です。

そうした準備にうってつけなのがインターンです。上にあげた企業のほとんどが、夏・冬に数日間のインターンを実施し、学生の仕事への理解を深めたり、実際に業務を経験してもらう機会を提供しています。

ぜひインターンの機会を利用し、知識を蓄えて就職活動へのモチベーションにしてほしいと思います。

 

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就活生に求められる能力は?大学生のうちにできること!

収益の多角化のために海外事業を積極的に進めている現状、損保業界で働くことはグローバルな事業に携わっていくことを意味します。そのため、英語でコミュニケーションをとる能力は今後ますます重要性を増していくと思います。

また、各企業が揃って掲げている人物像として、「熱意がある人」だったり「行動力のある人」といった共通項があります。こうしたことから損保業界では「体育会系が強い」というイメージがあります。

ですが体育会系だから有利というわけではなく、学生のうちに何か一つのことを根気強くやり通すことが大切だと考えているようです。「スポーツはやってきてないから不利かも」と思わず、学生のうちに何か熱中できることを見つけ、それをやり通すことで大きなプラスになると思います!

 

業界研究と企業研究の違いは?具体的な研究事例を紹介!

まとめ

損害保険業界の業界分析はいかがでしたか?

特に生命保険業界との比較は面接でも高い頻度で聞かれることに加えて、自分の志望の方向を定める上でも重要なポイントです。

「生命保険との違いがいまいちわからない」とか「どっちがいいか迷っている」という人も多いと思います。そんな人こそ、まずは各企業のインターンに参加してみて、業界や各企業に対するイメージを固めていけるといいと思います!

 

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