航空業界は、華やかな印象で就活生にも人気が高いです。
全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)に関しては、この業界に興味がなかった人でも聞いたことがありますよね。
今回は大手企業だけでなく、中小企業の現状や動向も調べていきます。
そして大きな視野で航空業界の業界研究を進めて、就活を有利にしていきましょう!
この記事の目次
航空業界とは
航空業界とは何か。ただ人を運ぶだけがこの業界の仕事ではありません。
あまり知られていないこの業界の仕事をまとめていきます。
航空業界の定義と歴史
航空業界とは、航空機を用いて旅客もしくは貨物を輸送する組織のことをいいます。
就活時にきく航空業界とは航空会社単体(例えばANAやJAL)をさすことが多いそうです。
航空業界の歴史は第二次世界大戦にまでさかのぼります。
日本の航空業界は以下の大手3社に集約されていきました。
- 日本航空(JAL)・・・WWⅡ後サンフランシスコ条約により、自由な航空権をもつ国を代表した航空会社としてスタートしました。
- 全日本空輸(ANA)・・・日本航空が出来た後、民間企業の競争が激化し、日本ヘリコプター輸送と極東航空が合併してできました。
- 亜国内航空(日本エアシステム、JAS)・・・運輸省の指導により、日本国内航空と東亜航空が合併してできた。現在は日本航空と合併しています。
その後「日米航空交渉」により、太平洋線の航空自由化がすすみこの業界は発展していきました。
1990年代からは格安航空会社などさらに業界は再編を行っていました。
しかしテロ事件や原油高騰により、経営破綻をする続出。
そこからもコスト削減や経営合併がすすみ、現在では日本航空と全日本空輸の大手2社がこの業界を占めています。
現在大手の企業は航空業界の中でも初期にできており、ずっとトップの座にいたんですね。
他を吸収しつつ大きくなってきた実力があるのでしょう。
航空業界の仕事内容
航空業界は航空機を使って旅客、もしくは貨物を輸送するとされています。
なので仕事内容も様々あり、その代表的なものを紹介していきます。
- 総合職(事務系)
空港サービスや営業所などに配属されます。その後一般管理部門や旅客管理部門、貨物事業部門など航空ビジネス全般にかかわる分野に行きます。
- 総合職(技術系)
現場経験の後、航空機の運航整備や機体整理計画、航空機やエンジンメーカーとの交渉など、専門性の高い整備部門の管理業務にあたります。
- 客室乗務員
機内での乗客サービスの提供。また機内で事故があったさい、保安要員として誘導や救護の役割をもちます。
- 運航乗務職(パイロット)
航空機を操縦士し乗客や貨物を目的地まで運ぶ。安全確認を多く行います。
- 航空整備士
航空機のメンテナンスを仕事とする。点検、整備、修理などが主な業務です。
航空業界には様々な職種があります。
その中でも地道な点検作業はとても大切であり、人の命にも大きくかかわりますよね。華やかな職種だけでないということがよくわかります。
主要な企業
ANAホールディングス
全日本空輸株式会社が、自ら持ち株会社に移行し設立されました。
航空輸送事業の他、旅行事業や商社事業を行っています。
日本航空(JAL)
通称JAL。アジアや欧米、国内でも多くの路線を保有しています。
世界的な航空連合の「ワンワールド」に所属しています。
アジア航測
アジア航測株式会社。空中写真からの地図量産化技術を世界で初めて実用化した会社です。
「技術のアジア」といわれる所以となりました。航空測量事業です。
スカイマーク
1996年にエイチ・アイ・エス当時の社長、澤田秀雄らの出資により設立されました。
格安航空会社として有名です。
航空会社の格安競争の際はインターネットサービスや運航、整備などの見直しを行っています。
航空会社の売上高ランキング、平均年収、勤務ランキング
売上ランキングといってもやはり大手2社が占めているのではないか、という予想は簡単にたちます。
JALやANAの他にどんな会社がランキングに入ってきているのかを注目してみて下さい。
航空会社の売上高ランキング
- 5位 AIRDO 473億円
- 4位 パスコ 527億円
- 3位 日本郵船 846億円
- 2位 日本航空(JAL) 13,366億円
- 1位 ANAホールディングス 17,911億円
(業界動向serch.comより平成27-28年度)
やはり1位と2位である日本航空(JAL)とANA HDがとびぬけた結果となっていました。
日本郵船は三菱会社の中核会社です。
日本の3大海運会社のうちの一つで(残りは商船三井と川崎汽船)国内外で活躍し、世界でも最大手の海運会社と言われています。
パスコは航空測量会社です。
測量や計測では国内最大手であり、測量から得られた地形・地図データ(空間情報)を、その他の業務と連携させる空間情報サービスの開発・提供に強みをもちます。
AIRDOは株式会社エアドゥが正式名称で、もともとは北海道国際航空株式会社。現在でも北海道に本社があります。
航空会社の平均年収ランキング(平均勤続年数)
- 5位 パスコ 633万円(10.7年)
- 4位 アジア航測 678万円(15.2年)
- 3位 日本航空(JAL) 679万円(18.0年)
- 2位 ANA HD 853万円(2.0年)
- 1位 日本郵船 1,036万円(13.9年)
航空業界の平均年収ランキングでは日本郵船が大手2社を抑えた結果となりました。
注目すべきはANA HDの平均勤続年数の短さですが、これはホールディングスに移行したのが原因であるとされています。
基本的には勤続年数は長いということが見てとれます。
特に勤続年数が長い会社は福利厚生がしっかりとしており、そこが強みといえるのかもしれません。
航空業界の現状や課題
ここまで航空業界をみてきてやはり大手企業が強い、と思いますよね。
就活生が大手企業に注目するのも仕方ないのかもしれません。
ここからは就活生も気になる現状や、今後、航空業界にとって大切になるだろう課題について考えていきたいです。インターンシップを考えている人もぜひ考えてみて下さい。
航空業界の現状
- 業界規模 3兆4080億円
- 伸び率 +4.7%
- 平均年収 688万円
業界規模は決して大きいとは言えず、人気のある業界ですがその市場規模は小さいことが分かります。
また伸び率も他と比べて極めていいわけでもありません。
この業界の人気の高さとは、少し異なった数字ではないのでしょうか。
現状としては、現在この業界は好調であるといえます。
平成22年に一度大きくしずんだこの業界も、対日外国人増加やアジア経済の成長によって業績は回復傾向にあるといえます。
航空業界が好調な要因は?
滑走路の増加
2010年ごろから羽田空港の国際線滑走路が増えました。
同時に成田空港の滑走路整備も行い、国内線も強化したことにより、多くの回数航空機が飛べるようになったこと。
LCCの拡大
LCC(Low cost carrier)とは「格安航空会社」のことです。
機内サービスを必要最低限にしたり、座席の広さを制限することで、費用削減や効率的な搭乗客増加を実現させています。
その結果格安をうりに現在その市場を広げ、航空業界の業績回復を支えました。
LCCだけでなく全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)も格安設定を行い、価格競争が激化しつつあるといえます。
しかし全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)は長距離の飛行を多くもち、例えば機内食の削減などLCCではできても難しいことがあります。
その為ラウンジの充実度をあげるなど、ワンランク上のサービスを行うという差別化もはじめています。
日本のLCCは先に述べたAIRDOやスカイマークの他、ジェットスタージャパン、ピーチ・アビエーション、バニラ・エアなどがあります。
航空業界の動向や課題
これからも旅客人数は増加するだろうといわれており、特に2020年のオリンピックにむけて航空業界はますます活発化していくことが考えられます。
羽田空港の国際線は2016年にも増えたことなど、ますます乗客数の獲得に各企業は動くと思います。
航空業界は大手2社によるシェア率がとても高いです。
しかしLCC出現による新しい競争もでき、価格競争などが特に最近はよく取り上げられます。
これらのことを踏まえこの業界の課題とは何でしょうか。
課題①:パイロット不足
これは2030年問題ともいわれています。
現在のパイロットの平均年齢を考えると2030年にパイロット不足が深刻となります。
パイロットの育成には多くのコストが必要であり、そのコストを出すのが難しいLCCなどは特にパイロットの確保は課題となるでしょう。
課題②:LCCの市場密度
現在LCCといわれる企業は多く、その中で乗客を確保することが難しいという問題です。
先に述べた通り航空業界の市場は意外にも小規模であり、その市場に企業が多く集まったため市場密度が非常に高くなってしまいました。
LCCは格安を売りにしているため、利益も小さく移り変わりも多くなることが予想されます。
乗客の確保と新しいサービスや路線の確保が課題となるでしょう。
価格競争が激しくなってきている現在、削減できるところは削減する、という方針がやはり多くなってきてしまいます。
しかし航空業界はミスの1つで、多くの人が事故にあう可能性をもちます。
安全面を整えつつこれからの事を考えている、そのようなしっかりした企業を就活では見極めていきたいですね。
最後に
航空業界の業界研究いかがだったでしょうか。
想像よりも大手2社による独占が多かったですね。
しかし日本航空(JAL)は一度経営破綻を起こしてしまっており、これからの業績が右上がりで居続けるかはわかりません。最近出てきたLCCにも問題は多いです。
オリンピックも近くこの業界はより就活生に注目されるでしょう。
働きたい人は大手だけでなく、自分がどんな風に働きたいか、この業界にどのように貢献したいか、ということを考えておくといいのかもしれません。