最近の就職活動の現場では「リクルーター面談」という選考フローを行う企業が増えています。
あえて面接官ではなく、リクルーターという別の存在を挟んで選考を行う企業側の目的は一体どういったものなのでしょうか?
通常の面接とは違うからこそ、それに対応した専用の対策をしっかりと練っておくことが必要です。
とくに2021卒の就活から、これまでの経団連のルールが撤廃され、各社選考早期化の動きが強まることが予想されます。
従来は、3年生の冬や4年生のエントリーシート提出後に実施されることが多かったリクルーター面談ですが、昨今の流れを受けてこちらも早期化する可能性が高まっています。
ここでは、リクルーター面談を行う目的と、実施の際に気をつけておきたいポイントをまとめて紹介します。企業によっては必ず実施されるものではありませんが、いざという時に焦ってしまわないように、しっかりと理解しておきましょう。
この記事の目次
リクルーター面談とは?面接とは何が違う?
リクルーター面談とは、リクルーターと呼ばれる、その企業の社員が学生とフランクに面談し、学生の志望動機を高めたり、または見極めをするための面談です。多くの場合、カフェや喫茶店といった固くなり過ぎない場で行われ、学生が通う大学のOBやOGがリクルーターを務めるケースが多いようです。
OBやOBがこのリクルーターン面談を行う場合は、OB訪問などと名前を変えて呼ばれることもありますね。
名目としては選考活動ではありませんが、実施をするからには目的が必ずあります。まずはその目的と時期に関して見ていきましょう。
リクルーター面談を実施する目的
先ほども軽くお伝えはしましたが、リクルーター面談は大きく二つの目的を持って実施をされます。
①学生の志望動機を高めるため
1つ目の目的が、学生の志望度を高めるため。近年は内定率も右肩上がりで、学生にとっては就職活動が成功しやすいうれしい環境になっています。しかし学生側に有利な状況になると、逆に苦しい状況になるのが企業側。
A社が採用したいと思える人材は、多くの場合B社もC社も採用したいと思っています。いくら内々定をたくさん出しても、その人が入社をしてくれなければ、その採用活動は成功とは言えません。企業側も、学生側と同じく、たくさんのライバルとともに、採用活動において激しい戦いを繰り広げているのです。
そこで、学生のOBやOGといった、年齢も近く、より具体的な仕事のイメージを持ちやすいリクルーターと面談の場を設けることで、企業理解や仕事理解を深め、志望度を高めてもらおうと考えるのです。
リクルーターは、人事担当者とは違い、志望部署の先輩や若手社員が務めるケースが大半です。
就活生にとっても、面接とは違い、現場の人たちから生の声を聞ける貴重な機会といえるでしょう。
「○○さんがとても充実して働いているように感じたので。」最近ではこのような入社理由を聞くケースも増えてきました。
2つ目:優秀な学生の囲い込みと絞り込み
2つ目の目的が、優秀な学生の囲い込みと絞り込みです。日本の就職活動の現場では、経団連の規定により、広報の開始時期や選考の開始時期などは細かく決められ、その日程を守らない採用活動はすべきではない、という考えがありました。
しかしリクルーター面談は厳密には採用活動ではないとされ、これらの実施を禁止されることはありません。そこで企業によっては、早くから学生との接点を持っておくことで、優秀な学生を囲い込んだり、絞り込んだりすることが増えてきました。
リクルーター面談を実施した学生は、その後の一次選考が免除されたり、いきなり最終面接に進める。などというケースも少なくないようです。つまり、リクルーター面談も面接と名目は違えど、少なからず選考の側面はあるということです。
リクルーターの人に良い印象を持ってもらえれば、選考優遇の可能性もありますし、逆に「ちょっとこの子は・・・」と思われてしまえば、本選考にマイナス影響が出ることもありえます。
リクルーター面談を実施する時期
では、これらのリクルーター面談はどのタイミングで実施されるケースが多いのでしょうか。
冒頭でもご紹介しましたが、これまでは面接実施前…採用情報が解禁された直後というケースやエントリーシートの提出後が多く、この場合は特に、優秀な学生の絞り込みや囲い込み目的で実施されていました。
しかし、近年ではインターンが実質的な選考の場となり、各社優秀な学生の囲い込みのために動きが早くなってきています。今年からは、インターン参加後からリクルーターがつく、というケースもありえるでしょう。
また、企業によっては、内々定を出した後のタイミングでリクルーター面談を実施するところもあります。
内々定を出した段階では、まだ学生側は内定辞退をすることが可能。辞退されてしまっては、今までの苦労が水の泡になってしまいますから、企業側としては絶対に避けたいところ。それを防ぐ目的で、改めて企業の魅力を感じてもらうためにリクルーター面談を実施する企業も多くいます。
いずれにしても、名目上は選考活動ではないというものの、そこ真意の部分には、かなりの選考要素が入っているのがリクルート面談のポイント。実施される時期によって、ある程度企業側の意図を掴むことができれば、対策も立てやすくなるでしょう。
リクルーター面談で好印象を与えるためのポイント
さて、リクルーター面談の意味と、それが行われる目的について見てきました。事実上の選考活動とも思えるような内容に驚いた人も多いのではないでしょうか。
フランクな場で、フランクな会話を楽しむだけではないのですから、実施に際し、気をつけておくべきポイントもやはり存在します。
ここからは、リクルーター面談参加に際して、押さえておきたいポイントを見ていきましょう。
①服装に気をつけよう。特に指定がなければスーツにしよう
まず最初に気をつけておきたいのが服装です。名目上は選考活動ではないからといって、どんな格好で行っても大丈夫というわけではありません。
企業側から服装の指定があった場合は、必ずその指示に従うようにしましょう。スーツを指定されれば、そのままスーツを着ていけばいいだけなので安心ですね。
逆に不安になるのが特に指定がなかった時。この際もスーツでのぞむのが無難です。リクルーターは社会人です。
社会人と会うときは、こちらも社会人としてのルールやマナーを守って会うべき。スーツを着てくることでマナー違反になることはありえませんので、一般的な就活用スーツで行けば問題ないでしょう。
一番悩んでしまうのが、私服を指定されたとき。私服だからといって、どんな服装もOKと思ってはいけません。例えばあなたが本当はとてもまじめでおとなしい性格だったとしても私服がとても派手で奇抜なものだったら、第一印象はそうはならないですよね?会って話せる時間は限られているからこそ、第一印象はとても大切。シャツにジャケット、といった無難な私服を選択するようにしましょう。
いわゆるオフィスカジュアルと呼ばれる服装になりますが、イメージがつかない人は以下の記事を参考にしてみてください。
②逆質問を用意しておこう
リクルーター面談では多くの場合、学生からの質問の時間を多く設けられます。その際にそもそも質問がなかったり、または聞かれたくないような質問ばかりをしてしまうと先輩社員からすると「あまり志望度が高くないのかな?」「想像力が乏しい子なのかな?」と思われ、逆効果。質問内容も事前に準備しておきましょう。
質問内容としては、具体的な仕事の流れや、リクルーター周辺の人間関係や社内の雰囲気、仕事のやりがいなど、リクルーターだからこそわかる、会社の裏側などが知れる質問を用意しておくと良いですね。
気をつけたいのは労働条件や福利厚生といった、待遇面での質問を多くしてしまうこと。働く上で重要な要素なのはわかりますが、そればかり気にしている風にとらえられてしまうと、入社の意欲が低いと判断されたり、わがままな印象を与えてしまう可能性があります。
もしどうしても聞きたい場合は「○○さんはリクルーターもされていて、すごくお忙しいんじゃないですか?休みとかはどんな風にとってるんですか?」といったように、自然な会話の流れで、文字通りフランクに聞いて見ると良いでしょう。
良い質問ができれば、企業理解が深まり、実際に働くイメージを湧かせることができるはずです。ポイントは、具体的な質問をすること。そうすることで、リクルーターも答えやすいですし、その人ならではの個別エピソードを聞くことができるでしょう。
例えば、
- 具体的な1日の仕事の流れを教えてください。
- 〇〇さんの部署の毎月の目標は何ですか?
- 〇〇さんにとっての仕事のやりがいを教えてください。
- お客様との打ち合わせでは、どんなことを聞かれますか?
といった質問が挙げられます。
具体的な質問をするには、その企業で働いている自分の姿を想像することです。毎朝何時に起きて、何時に帰って、どんなスキルが必要になるのか、など想像してみましょう。
③アドバイスをもらったら次回面談までに修正しておこう
リクルーター面談は、基本的に複数回にわたって開催されることが多いです。
その中で、「まだウチの会社の志望理由が弱いから、そこを改善できるといいね」などリクルーターからアドバイスをもらう機会もあると思います。
そうした時は、必ず次回までにフィードバック内容を改善してください。
社会に出たら、どれだけ素直にアドバイスを受け入れて改善できるかで社会人としての成長スピードは変わってきます。
先ほど述べた通り、リクルーター面談は、選考の色合いを含んでいます。アドバイスをどう活かしてくるか、は一緒に働く先輩からすると大変気になるポイントですよね。
仮に初回で色々なアドバイスがあったとしても、次にしっかりと活きていれば高評価なのです。逆パターンもありますので注意してください。
④面談後は必ずお礼メールを書こう
面談後には、必ずリクルーターの人にその日中にお礼メールを送りましょう。
お礼メールの内容で合否が決まるということはありませんが、当日中にメールを送っているか、日本語がおかしくないか、誤字脱字がないか、など最低限のマナーは見られていることを意識しましょう。
お礼メールは、テンプレ的な文章ではなく、リクルーターから聞いた具体的なアドバイスやエピソードなどを引き合いにだすことで熱の入った印象に残るメールになります。
リクルーター面談を上手に活用しよう
リクルーター面談の目的と意図、そして実施に際して気をつけておきたいポイントに関してみてきました。リクルーター面談の機会を得れば、その時点では企業に興味を持ってもらっている可能性は高いです。
だからこそ、そのチャンスを無駄にすることなく、確実な成功に結びつけるために、しっかりと心構えをし、準備をしてからのぞんでいきたいものですね。
また、仕事イメージを具体的に湧かせるには、実際に働く経験を積むのが最も近道です。気になる業界や職種があれば、有給インターンなどで実務を体験してみるとより仕事理解が深まると思いますよ。