生命保険業界の業界研究!仕事内容や生保の仕組み、今後は?

病気や怪我など万が一の時に私たちの生活をサポートしてくれる生命保険。

テレビCMなどでも目にする機会は多いものの、実際に生命保険会社が何をして利益を上げているか、どんな会社が業界上位にいるのか、よく分からないという人も多いと思います。

そんな生命保険業界を業界全体の動向、注目企業について分析するとともに、業界全体の将来について考えてみたいと思います!

 

 

生命保険業界の規模・生保と損保の違い・儲けの仕組みは?

そもそも生命保険と損害保険の違いは?

思いがけない事故や病気等で怪我や病気、あるいは死亡に至った場合などに、自分や自分の家族が生活を営んでいく上で抱えうる経済的困難を補うものが生命保険です。

具体的にあげるなら、被保険者が亡くなった場合に残された遺族に生活に必要なお金を残しておくと言う仕組みが、死亡保険です。

また怪我や病気で入院、通院が必要となった場合に医療費を部分的に負担するのもこの生命保険の役割の一つです。

一方で、火災や交通事故、地震などによって身体以外のものにアクシデントが生じた場合に、その損害を補償するものが損害保険です。

業界規模ってどのくらい?最近の動向は?

生命保険業界自体はよくわからなくても、テレビコマーシャルなどでなんとなく保険会社の名前だけは知っている、という人も多いと思います。一般財団法人生命保険協会を見てみると平成29年度9月1日現在で41の企業がこの生命保険協会へと加盟しています。

その中には、第一生命や三井生命といった国内系企業から、アクサ生命やチューリッヒ生命といった外資系企業も加盟しています。

 

市場規模というとおよそ850兆円(個人保険の契約保有数、生命保険協会より2016年3月末)です。業界全体の動向としては2002年には1200兆円ほどの規模でしたが、現在にかけて継続した下降傾向にあります。

 

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生命保険業界ってどうやって儲けてるの?生命保険の仕組みを分析!

お金を出して商品を買う、という訳ではないので生命保険を扱う会社が実際にどういった仕組みで儲けているかというのは私たちからは少しわかりにくいと思います。まずは、業界全体がどういった仕組みで成り立っているか見てみましょう!

 

まずは、利差益と呼ばれるものです。これは保険を契約する際に契約者側と交わした利回り(この利率を予定利率と言います)と自社で実際に運用した場合の利回りとの損益のことを指します。この利差益は円高・円安の影響を受けやすく、現在は円高とマイナス金利政策が影響し、大きな逆風となっています。

 

次に、危険差益と呼ばれるものです。これは生命保険会社側が独自に算出した保険契約者の予定死亡率と実際の死亡率との差から生まれる損益のことです。現在のところこの死差益が生命保険会社を支える大きな利益源となっています。これは、日本のように治安が安定し、高い医療技術を誇る国では概ね死亡率は毎年一定なので、保険会社側は想定される死亡率より高めに死亡率を推定しておくば生命保険会社側が損をすることはほとんどない、という仕組みとなっています。

 

最後が費差益です。これは事業の実施にあたって予定していたコストと実際にかかったコストとの差によって生じる損益を指します。要するにコストダウン、効率的な経営によって利益が生じる部分なので、各企業の経営努力が現れるのが、この費差益と言えます。

 

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生命保険業界ってどんな会社がある?ランキングと主な企業は?

生命保険業界のランキング!国内系と外資系の勢力争いは?

いったい生命保険業界でのランキング、勢力争いがどうなっているか気になりますよね?今回は、①保険料等収入と②基礎利益の2つの観点からランキング付けしていきます!

ここで言う保険料等収入とは、保険契約者から払われる保険料による収益を指し、いわば売上高と考えてもらって構いません。また、基礎利益とは保険料収入から事業費を差し引いた保険業務での収支と、利息など資金運用上の収支を合わせたものを指し、純利益に該当します。

保険料等収入ランキング

1位 日本生命・・・・・・・・・・・6兆0,809億円
2位 かんぽ生命・・・・・・・・・・5兆4,138億円
3位 明治安田生命・・・・・・・・・3兆3,578億円
4位 住友生命・・・・・・・・・・・3兆0,220億円
5位 第一生命・・・・・・・・・・・2兆8,666億円
6位 第一フロンティア生命・・・・・1兆8,730億円
7位 メットライフ生命   ・・・・・・1兆6,313億円
8位 アフラック ・・・・・・・・・1兆5,333億円
9位 三井住友海上プライマリー生命・1兆3,001億円
10位 ジブラルタ生命  ・・・・・・・1兆2,348億円

こうしてみると、日本では日本生命とかんぽ生命が他社を大きく引き離した二強の状態にあり、日本企業が上位を占めています。外資系企業の最高位はメットライフ生命(アメリカ)の7位にとどまっているのが現状です。

 

基礎利益ランキング

1位 日本生命  ・・・・・・・・・・・・6,981億円
2位 第一生命・・・ ・・・・・・・・・4,654億円
3位   かんぽ生命 ・・・・・・・・・・ ・4,642億円
4位   明治安田生命・・・・・・・・・・  4,599億円
5位   住友生命  ・・・・・・・・・・・・3,082億円
6位   アフラック  ・・・・・・・・・・・2,602億円
7位   ジブラルタ生命  ・・・・・・・・・1,278億円
8位   大同生命  ・・・・・・・・・・・・1,048億円
9位   富国生命  ・・・・・・・・・・・・・923億円
10位 太陽生命  ・・・・・・・・・・・・・538億円

(データは四季報2017年度版より)

生命保険業界の主な企業は?業界大手と外資系企業ってどんな企業?

国内系企業

・日本生命

日本の生命保険業界を考えていく上で重要なキーワードが「業界の再構築」です。各社の買収・提携が今日では相次いでいます。日本生命も2015年に三井生命を買収し国内での盤石な基盤を作り上げました。

1889年に創業で日本では3番目に古い生命保険会社です。また大きな特徴として総従業員に占める女性の割合が非常に高いという点があります。女性の割合は約60%にものぼり、女性比率の高さは日本企業全体としても有数の数字です。

 

・かんぽ生命

郵政民営化によって2007年に誕生した日本郵政傘下の保険会社です。郵便局との連携のもとで商品提供を行うため、他社に比べてより多くの人々にサービスを届けることができる、という点が最大の魅力です。

また2016年に第一生命と間で、海外事業や資産運用、新商品への共同研究など3つの分野での業務提携をした点にも注目が集まっています。

 

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外資系企業

アフラック(アメリカンファミリー生命保険)

1974年に日本で初めてがん保険の営業を開始したのがこのアフラックです。以来、がん保険では国内トップシェアを誇り、医療保険の分野も強い基盤を持っています。

今後の日本社会は深刻な少子高齢化社会に突入すると考えられており、その中でもがん保険への需要は拡大していくと考えられます。こうした展望からアフラックは生命保険業界でも今後安定したシェアを維持・拡大していける企業であると考えられます。

 

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生命保険業界の動向は?今後どうなっていくか大予想!

生命保険業界の2つのキーポイント!

 

・マイナス金利政策の導入

保険の機能には、保障機能と貯蓄機能があります。保障機能とは、病気や怪我の際にかかる医療費に占める負担額をなるべく少なくするというものです。

貯蓄機能とは満期を迎えた際などに満期保険金としてまとまったお金を手に入れることができる機能です。特に貯蓄機能の側面を強く持つのが終身保険です。マイナス金利政策で、この貯蓄型商品の売れ行きが不振となり、販売売上の縮小に繋がっています。

 

・ニーズの変化

死亡保険へのニーズが縮小したことにより保有契約数は長い間減少傾向にありましたが、近年は安定してきています。その要因として、医療保険へのニーズの移行が上げられます。

晩婚化や少子化の進行に伴い、家族にお金を残せるかという不安よりも老後の医療費を支払えるか、という点への不安が大きく捉えられてきています。

また、そもそも生命保険に関する知識がないという世帯も増えてきたことも事実です。晩婚化、少子高齢化の流れの中で、どうやって新たな層を顧客として取り込んでいくか、どのようなサービスを打ち出していくかが極めて重要になってくると思います。

 

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生命保険業界の未来はどうなっていく?少子高齢化社会への対応は?

先に述べた通り、生命保険というのは自分に万が一のことがあった時に備えて、家族を経済的に困難な状況に陥らないように未然に対策しておくものです。

特に、子供がいる家庭では万が一に備えて生命保険をかけておく傾向がより強くなります。しかし、近年では少子化が大きく進行し、高齢者人口は2030年には30%前後、2050年には40%前後にまで拡大していくといわれています。

 

少子高齢化社会では、死後にお金を残していても仕方ない、と考える家庭が増えていくのではないかと推定できます。こうした際に生命保険に対する需要が減っていく可能性は大いにあると思われます。

こうした中で、生命保険会社が生き残る術として介護保険などを充実させるのか、はたまた全く別の保険制度を確立するのか注目したいですね。

 

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まとめ

生命保険業界の業界研究はどうでしたか?

業界再編の真っ只中にあると同時に、高齢社会への移行を機に重要な転換点を迎えている生命保険業界。

生命保険は人々に安心を与え、人生により寄り添ったサービスを提供できる仕事です。

就活生にも人気が高い業界なので、しっかりとした業界研究が必要です。

まずは生命保険業界を志望するのか、損害保険業界ではなくなぜ生命保険業界で活躍したいのか、など損害保険業界との違いを正確に押さえておくことから始めてみましょう!