高齢化社会化が著しい日本において「高齢者をいかに介護していくか」というのは、今後長い間私たちが付き合っていかなければいけない課題の一つです。
就業人口が年々減少していく一方、介護を必要とする高齢者数は増加しているため、働く世代が抱える経済的・身体的負担は重くなっていくと考えられています。
こうした中で、介護事業に対する需要は今後も継続して伸びていくと見られているものの、業界全体として抱える課題が「人材不足」だと言えるでしょう。
精神的・身体的に過酷であることや、仕事内容に見合わない給与であることなどが度々取り上げられ、学生からはやや敬遠されがちな業界でもあります。
ですが、「誰かの笑顔に直結する」というやりがいあり、他人の人生に深く寄り添うことのできる素晴らしい仕事です。
そんな介護・福祉業界はどんな業界なのか、業界にはどんな企業があるのかを紹介するとともに、実際働いてみるとどうなるかイメージできるような業界研究をしていきます!!
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この記事の目次
介護・福祉業界の概要
介護・福祉業界の市場規模は!?高齢化社会に伴って需要は伸びる!?
介護業界の市場規模は、9兆5,783億円でした。(介護保健総費用より算出)
平成28年現在での日本の高齢者人口(65歳以上)は3461万人で総人口のおよそ27%を占めています。
2007年に高齢者人口率が21%を突破し、日本は超高齢社会という位置づけになっています。
(全人口に占める65歳以上の高齢者の比率が、7%を超えると高齢化社会、14%を超えると高齢社会、21%を超えると超高齢社会と区別されます)
また、2014年に厚生労働省が算出した要介護認定者総数は606万人となっています。
高齢化社会の進展に伴って要介護者数は、2002年には350万人でしたがそこからは右肩上がりで、2014年には600万人を突破しました。
1ヶ月の平均サービス受給者は500万人に到達するなど介護事業への需要は年々高まっています。
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介護・福祉業界の動向は!?深刻な人手不足が最大の課題!?
先ほども述べたように介護業界は大きな需要が高まっていきている一方、深刻な人手不足からサービスの供給が十分に行き届いていないのが現状です。
介護業界への人材需要は年々高まっているものの、仕事内容の過酷さや賃金が比較的少ないことからなり手が圧倒的に少ないのが業界全体が抱える最大の課題となっています。
具体的には、介護分野の有効求人倍率が2010年から上昇傾向で、2015年にはおよそ3倍に迫るなど深刻な状況が続いています。
また、技術的な方策に加えて海外(特に東南アジア地域など)から外国人労働者を受け入れて人材不足を解消しようという動きも出てきています。
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介護業界の儲けの仕組みは!?老人ホームと訪問サービスに違いは!?
介護業界の売上のおよそ9割は介護保険料や税金などの公的扶助によって捻出されており、実際に利用者が負担するには全体の1割程度とごく小さな負担で住んでいるのが日本の介護保険制度の現状です。
介護業界の主な業務形態としては、介護老人ホームなどへ要介護者を入居させて身の回りのケアを24時間体制で行う施設型サービスと、一週間のうち決められた日だけ過程を訪問し、リハビリテーションなどのケアを行う訪問型サービスの二つがあります。
介護福祉施設事業の利益率は高く、厚生労働省による「平成 26 年介護事業経営実態調査結果の概要」によれば、訪問サービスが7.4%なのに対し、介護老人福祉施設は8.7%、認知症対応型共同生活保護では11.2%となっているのが特徴です。
また売上高から、コスト(具体的には老人ホームの家賃やそこで働く人の人件費など)を差し引いたものが利益となります。
そのため企業としても家賃などの負担がかからない訪問サービスへの転換を進めているところも多くあり、業界全体として「施設から在宅へ」という流れが強くなっています。
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介護・福祉業界の主な企業は!?売上高や経常利益・平均年収・特徴など!
ニチイ学館
・売上高 2766億円
・経常利益 14億円
・平均年収 351万円(平均年齢43.6歳)
介護事業と医療事業を柱に据える介護業界の最大手です。
業務形態としては、グループホームは273拠点、訪問サービスは1000拠点を突破するなど総合的な介護サービスを行なっています。
人材育成や語学事業にも精力的で、介護事業での中国進出も進めています。
ツクイ
・売上高 732億円
・経常利益 38億円
・平均年収 406万円(平均年齢42.1歳)
通所介護事業が主軸で、神奈川県を拠点に全国展開を進めています。
ベネッセホールディングス
・売上高 1030億円
・経常利益 81億円
・平均年収 930万円(平均年齢44.7歳)
語学事業、教育事業が主軸となっているものの、介護事業も盛んです。
入居介護サービス事業では、様々な価格帯の有料老人ホームを展開しています。
また看護師や介護職の人材紹介派遣業、高齢 者向け配食サービス事業もグループ会社で担当しています。
ヒューマンホールディングス
・売上高 91億円
・営業損失 0.45億円
・平均年収 562万円(平均年齢42.3歳)
1985年に予備校事業ををスタートしました。
人材派遣事業、社会人教育、介護福祉事業など幅広く展開しています。
シップヘルスケア
・売上高 211億円
・経常利益 63億円
・平均年収 695万円(平均年齢40.9歳)
地域医療に根ざした介護事業が特徴で、在宅介護、訪問サービスを中心とした介護サービスや調剤薬局事業を行なっています。
SOMPOケアメッセージ
・売上高 787億円
・経常利益 63億円
・平均年収 373万円(平均年齢38.7歳)
損保ジャパン日本興亜が子会社化し、立て直しに成功しました。
主力となるのが介護付有料老人ホーム事業で国内におよそ180拠点(フランチャイズを含む)を運営しています。
セコム
・売上高 668億円
・経常利益 46億円
・平均年収 599万円(平均年齢42.4歳)
警備サービスで国内トップを誇ります。
最近では保険・介護分野などに多角化を進めているのが特徴です。
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介護・福祉業界のランキング!!売上高・経常利益・平均年収トップ5は!?
売上高ランキング!やはり総合サービスを行うニチイ学館は強い!?
1位 ニチイ学館 2766億円
2位 ベネッセHD 1030億円
3位 SOMPOケアメッセージ 787億円
4位 ツクイ 732億円
5位 セコム 668億円
売上高ランキングはニチイ学館が2位以下に倍額以上の差をつけて1位となりました。
施設運営・訪問サービスの両面で活躍する総合サービスが特徴であることが大きな要因と考えられます。
経常利益ランキング!儲けの仕組みをうまく活用しているのは!?
1位 ベネッセHD 81億円
2位 SOMPOケアメッセージ 63.5億円
3位 シップヘルスケア 63.4億円
4位 セコム 46億円
5位 ツクイ 38億円
こちらはベネッセHDがトップになりました。
ベネッセHDは高齢者向けの施設を前年比16施設拡大し、安定した入居率があることから、増収となり営業利益も16.6%の増益となっています。
平均年収ランキング!業界全体としての給与水準は!?
1位 ベネッセHD 930万円(平均年齢44.7歳)
2位 シップヘルスケア 695万円(平均年齢40.9歳)
3位 セコム 599万円(平均年齢42.4歳)
4位 ヒューマンHD 562万円(平均年齢42.3歳)
5位 ソラスト 519万円(平均年齢41.9歳)
国税庁が発表した「平均給与実態統計調査(平成28年度版)」では、医療・福祉分野の平均給与額は389万円でした。
この年の平均給与額が422万円であることから、業界全体としては平均よりやや低い水準であると言えるでしょう。
またベネッセHDの平均年収が圧倒的に高くなっていますが、介護事業を主とする企業ではないことを考えると、介護業界大手の給与水準でも500~600万円程度がおおよその目安となりそうです。
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介護・福祉業界に就職するには!?
介護業界の抱える課題!深刻な人材不足って本当!?介護ロボットの導入は!?
日本の少子高齢化は年々深刻化しており、2025年には団塊の世代が75歳以上となる超高齢化社会に突入していくことが大きな問題となっています。
こうした背景から、介護サービスに対する需要は今後も拡大していくのではないかと見られています。
その一方で身体的・精神的にハードな仕事であるにも関わらず賃金水準が低い、という認識の広まりもあってか介護業界ではなかなか十分な人材確保ができていないのが現状です。
そのため現場単位・国家単位での働き方改革が強く求められています。
また、介護ロボットの導入も進み、身体に対して負担のかかる仕事を代替してくれる存在として注目されています。
実際に導入が進めば介護従事者の仕事の負担が軽減されるだけでなく、一人当たり・一施設あたりに受け入れることのできる要介護者の人数が増えることから、介護業界の人材不足とサービス供給に対する需要超過の状態を一挙に解決する手段として期待が高まっています。
しかし介護ロボットはまだまだ高額であるため普及が経済的にかなり余裕のある施設や家庭に限られ、なかなか進んでいないのが現状です。
こうした状況に対して、介護ロボットを導入する施設に対しては、各自治体が補助金が付与されるなどの対策が取られています。
介護業界に就職するには資格が必要!?
介護業界で働く人が取得している資格としてメジャーなものに、ケアマネジャー・ホームヘルパー・介護福祉士・社会福祉士などがあります。
医療業界などでは資格を有していないと業務に携わることはできないなどの制約がある場合が多いですが、介護業界では資格のない人でも働くことができます。
もちろん高い専門性の伴う業務に関わることは難しいですが、資格のない人でもできることはたくさんあります。
また、入社時には資格がなくとも、仕事と勉強を両立して介護福祉士を目指すという人も多いようです。
ですから、入社したいと思った段階で資格がないからといって諦めないことが大切です。
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まとめ
介護・福祉業界の業界研究はいかがでしたか!?
何度も述べたように介護業界の最大の課題は「人材不足」であり、言い換えれば学生が極めて入りやすい環境にあるということです。
もちろん仕事内容が大変であったり、給与面では他の業界より劣ってしまう部分もあるかもしれません。
しかし、誰かを直接的に支えるような仕事はそう多くはないので非常にやりがいのある仕事だと思います。
興味があるけど不安な人は多いと思うので、そんな人は企業が主催する就業相談会や施設見学会に参加して、「自分に合っているか」や「本当にやりたい仕事か」を自分の目で確認してみるといいと思います!!
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