学生なら誰しもお世話になってきた文房具。学生を終えてもオフィスでのデスクワークで使う機会も多いので、私たちの人生の大部分は文房具と共にあると言っても過言ではありません。
そうした身近な存在でありながら、文具・事務用品業界に詳しいという人はそう多くはないと思います。
実は、日本の文房具は品質・デザインともに優れたものが多いとされ、今日では外国人観光客がお土産として買って帰りたいもの・外国人にプレゼントとして渡したいものとして人気が高まっています。
こうした一方で、近年のスマートフォンの普及やオフィスでの仕事もデジタル化が進んでいるなど、文房具が使われる機会も減少傾向にあることも事実です。
こうした状況の中で、文房具業界の各社はどのような対応をしているのか、業界は今後どのような方向に向かっているのか分析して見たいと思います!
業界研究と企業研究の違いは?具体的な研究事例を紹介!
この記事の目次
文具・事務用品業界の基本情報!市場規模や平均年収・仕事内容は?
基本情報!市場規模はどのくらい?年収は高いの?
矢野経済研究所による「文具・事務用品市場に関する調査」によれば、2016年の文具・事務用品市場の市場規模は、4,598億円でした。
また労働者数はおよそ1万5000人ほどと推定されています。
また平均年収は、40歳での推定金額で540万円程度とされています。国税庁が算出した平成28年9月時点での平均年収が45.6歳で420万円だったことから、平均より少し高めの水準にあると言えるでしょう。
ただし、大手メーカーとその他小規模企業では大きく異なる可能性が高いので注意が必要です。
文房具業界の仕事内容って?具体的に何をする?
文房具業界の各社が行う主な業務は、「企画」「生産」「営業」の3つに大きく分けられます。
企画とは、「どんな文房具があればもっと便利になるか」や「より使いやすくするためにはどうするべきか」ということを考えながら製品の形状や性能を考えます。
日本の文房具は、かゆいところに手が届いたり、消費者の抱えるちょっとした不都合感を解消してくれる機能を備えたものも多く、これは各社の「企画力のたまもの」と言えるでしょう。
また、日本の生産技術の世界有数のものです。ゼブラの芯の折れないシャープペンシル「デルガード」や三菱鉛筆の芯がとがり続けるシャープペンシル「クルトガ」など、高い技術が必要な文房具が1000円以下という低価格で販売されているのは実はすごいことなんです!
3つ目の営業活動は今後の文房具業界を担う重要な仕事です。IT化が進み学校の授業でも電子端末が使用されるなど、既存の基盤だけでは以前ほどの売上を期待できなくなってきているのが現状です。
そのため、未開拓の市場への営業や国内だけではなく海外での市場拡大など、新たな基盤を作っていくことが業界各社にとっては大切になってくると思います。
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就職活動のターゲット選び!文房具業界の主要メーカーは?
文房具業界と一口に言っても、文具・事務用品全体を扱う総合メーカーと、特定の用途や器具に特化した企業の2つに分けられます。
主要メーカー・主な企業を紹介!各社のエース商品は??
総合メーカー部門
コクヨ
コクヨといえば「Campusノート」がおなじみですが、実は文房具以外にもオフィス周りで活躍するデスクチェアといった家具の取り扱いも行なっています。
また近年の商品としては、針を使わないホッチキス「ハリナックス」は針なしホッチキスブームの火付け役となりました。
プラス
オリジナルブランドの文具やオフィス用品の企画から販売までおこなっています。近年は主軸となるB to Bビジネスに加えて、B to C への拡大も測っています。
また通信販売事業としてアスクルを立ち上げました。アスクルは「明日来る」という言葉から転じているように、翌日発送を強みとしています。
現在ではアスクル株式会社として東証一部上場し、プラス以外の商品も扱ってほしいというニーズに応えて、文房具だけではなく家具や日用品など40万点近くを扱っています。
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筆記用具部門
パイロット
こすると消えるボールペン「フリクションボール」が手帳やノートなど書き直しが必要な場面で活躍し、大人気になりました!
このフリクションボールを筆頭に、ヨーロッパやアメリカでの市場開拓が進んでいます。
ゼブラ
芯が折れないシャープベンシルとして有名な「デルガード」や、あらゆる色・芯の太さのラインナップを備えた「サラサシリーズ」などが人気商品です。
三菱鉛筆
先ほど紹介した、書いてもとがり続けるシャープペンとして大人気の「クルトガ」や、なめらかな書き心地が特徴の油性ボールペン「ジェットストリーム」などが人気商品です。海外売上比率が50%近いのもポイントです。
また、クルトガはディズニーやサンリオなど児童に人気のブランドとのコラボもあってか、販売累計7000万本を突破するメガヒット商品となっています。
ファイル関連部門
キングジム
「テプラ」でお馴染みなのが、このキングジムです。厚型ファイルを中心に、ファイル・バインダー市場では圧倒的なシェアを誇っています。
最近では、IT化の流れに伴い手書きで残した情報を簡単に電子端末と共有できる「ショットノート」などを販売しています。
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文房具業界のランキング・動向!売上高・平均年収1位は?今後どうなっていく?
これまで、オフィス業界の主な企業について見てきました。では、業界内での売上高と平均年収のランキングを見てみましょう!
(数字は平成26-27年のものを使用)
文房具業界の売上高ランキング!
1位 コクヨ 3,042億円
2位 アスクル 2,767億円
3位 岡村製作所 2,201億円
やはり売上高は大手総合メーカーなどが上位となっています。
参考までに上で紹介した企業についても見てみると、
パイロット 991億円
三菱鉛筆 637億円
ゼブラ 212億円
キングジム 331億円
のようになっています。
売上高でみると総合メーカーにかなり圧倒されていますが、営業利益を見てみると、コクヨが111億円なに対し、パイロットは193億円、三菱鉛筆は118億円となっているのもポイントです。
平均年収ランキング!!
1位 アスクル 781万円(平均41歳)
2位 三菱鉛筆 756万円(平均41歳)
3位 コクヨ 733万円(平均44歳)
やはり有名企業となるとかなりの高額年収となるようです。業界全体としては概ね600~800万円あたりに落ち着くようですが、扱う商品が限定的な小規模企業では年収が変動しやすかったり、大企業に比べて平均年収が低めになることもあるようです。
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文具・オフィス用品業界の動向は?これからどうなっていくか大予測!
やはりIT製品が幅広い分野で活用されてきていることは、文房具業界にも少なからず影響しています。
小学校では電子端末が授業で取り入れられたり、大学での授業資料も紙ではなくデータとしてやりとりされるなど教育の場での文房具の立ち位置は大きく変わりつつあります。
また企業でも業務内容の伝達はメールが主流、業務の大部分がパソコンで済ませられるなど各社の創設当初とは大きくかけ離れた状況にあります。
そうした中で、IT機器にはない低価格路線に進むのか、それとも高機能・高性能を極めていくか、はたまたその流れに乗っかり「ショットノート」のような電子化を進めていくか、対応策は各社さまざまです。
ただ、日本製品に対する海外からの需要も一貫して大きいことや、アスクルのように文具・事務用品の枠を超えて扱う分野を広げている企業もあることから、業界全体としてまだまだ成長の余地があるのではないかと思います。
SNS全盛である今日、たとえ販売規模が小さくともアイデアやデザインが優れてさえいれば、爆発的な勢いでヒット商品となることも多々あります。そうした意味では、小規模な企業にも大きなチャンスが転がって来る、そんな時代になっているのではないかと思います。
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就活生に求められる能力・大学生にもできることは?
どんな人が向いているの?就活生に求められるパーソナリティーは?
日本の文房具は、世界でも有数の使いやすさ・デザイン性を誇っています。また、あったら便利な機能を上手く反映し、実現してくれているのも日本の文具の強みの一つです。
まずはもともと文房具が好きな人、自分の仕事が自分自身の目に見える範囲で役に立っていることを実感したい人などがこの業界には向いているのではないかと思います。
文房具業界に比べて私たち一般の消費者の日常生活と距離が近く、自分の仕事の成果がかなり実感しやすい業界だと思います。
やりたいことが見つからない大学生こそインターンがおすすめ
求められる能力は?大学生は何を磨くべき?
企画に関わる仕事につくならば、他の人には浮かばないようなアイデアを出すアイデア力が必要になります。
日常生活の中で感じる「不便さ」を放置するのではなく、一歩踏み込んで「どうやったらもっと便利になるだろうか」と考えてみるだけでもアイデア力は十分付くのではないかと思います。
営業に関わるならば、コミュニケーション能力が重要になります。また、パイロットや三菱鉛筆のように海外事業に力を入れている企業が業界内で増えてきていることから、英語でコミュニケーションをとる能力が今後重要性を増してくるのではないか、と予想されます。
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まとめ
文房具業界の業界分析はいかがでしたか?
自分たちに身近な存在でありながら、わからないことや知らなかったことも多かったのではないかと思います。
企画を将来的にやりたいなら毎日何個か新しいアイデアを出せるようにトレーニングしたり、営業志望ならコミュニケーション能力や英語力を鍛えたりと今のうちからやれることはたくさんあります。
ぜひ、文房具をたくさん使って勉強に励んでみてください!!
大学3年生はインターンシップをすぐに始めたほうがいい