【プロフィール】
freee株式会社 代表取締役 佐々木大輔
1980年生まれ。一橋大学商学部を卒業後、博報堂へ入社。
同社を退社後は、投資ファンドで投資アナリストを経て、レコメンドエンジンのスタートアップであるALBERTにてCFOと新規レコメンドエンジンの開発を兼任。
その後Googleに参画し、日本やアジアでの中小企業向けのマーケティングチームを統括。同地域での中小企業におけるオンライン広告プロダクトの浸透に貢献する。そして2012年、freee株式会社を設立。
誰もが羨むような有名企業を渡り歩き、起業を果たした佐々木氏。現在運営している全自動のクラウド会計ソフト「freee(フリー)」を、短期間でトップシェアを誇るまでに急成長させた。
その輝かしい経歴からは想像できないが、「大学時代にインターンシップへ参加するまでは、特に目立つようなことはなかった」という佐々木氏。
では、人生の転機はどこにあったのか?インターンシップで積んだ経験から、その原点を探る。
インターンシップが、平凡な僕の大学生活を変えてくれた
この記事の目次
長期インターンシップへの参加が起業の原点。
質問:学生時代に、インターンシップへ参加された経緯を教えてください。
大学2年まではラクロス部と塾の講師のバイトを掛け持ちしていたのですが、将来を考えたとき、自分が留学するために進学したことに立ち返り、思いきって辞めたんですね。
ちょうどその頃に、ゼミで学んでいたデータサイエンスのおもしろさに引き込まれていて。
けれど、机に座っていても現実味がないので、「世の中にある生きたデータを分析しないとつまらないな」と思うようになったんです。
そんなとき、たまたま友達が「インターンシップでプログラミングができるようなった」と自慢気になっていたのを思い出して、その繋がりからインタースコープ(現・マクロミル)という会社のインターンシップに参加しました。
今ならtwitterなどで個人的に分析を実践する方法はいくらでもありますが、あの時代は何もなかった。一般的なバイト募集の求人広告では、そんなマニアックな仕事はないですし(笑)。
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質問:インタースコープでは、どんな経験をされたのですか?
インタースコープ(現・マクロミル)はインターネット調査会社で、当時はスタートアップ。
人手が足りず、本当に忙しそうでした。そのおかげで、私はインターンシップ参加早々、超大手自動車メーカーの案件に携われることができました。
あの頃はもう楽しくてしょうがなかったな。会社に住み込む勢いで仕事に没頭していました。
実際、いつの日からかデスクの足元に布団が用意されていましたね(笑)
あとは地道なアンケート調査の仕事が多かったですね。
ネットベンチャーと聞いて、「きっと最先端の技術で効率よく仕事ができるんだろう」なんて思っていたら、すごくアナログだったんです。集計結果が毎日メールで送られてきて、それをExcelなどに手作業で移していく作業の繰り返し。
あんまりそういう作業は得意じゃないので、計算ミスが頻繁にあり、よく上司に叱られていました。
俺、こんなことやりたくてインターンシップしてるわけじゃないのにって思って、ある日「もうこんな単純作業嫌です。辞めます…」と社長に話をしたら、「じゃあ、自分で効率のいいシステムをつくれ」と言われたんです(笑)。
・・・たしかに。
そこから必死になって集計ツールをつくりあげました。
その集計ツールを使うと、これまで1日かかっていたExcelの打ち込み作業が、約1時間ちょっとで出来るようになったんです。このときに気がつきました。
今ある既存のやり方をシステム化させれば、作業のプロセスが大きく変わる。
生産性が上がるだけじゃなく、その時間をもっと本質的なことに向けられるようになる。
これがいちばんの価値なんじゃないかと。この発見こそが、今のfreeeにつながる原体験だったのかもしれません。
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成長できる要素は、「熱い仲間」と「大きなお題」
質問:もともと、物事を突き詰めて考えていくタイプだったんですか?
いやいや、違いますよ。
学生時代もそれなりに要領よくこなす方ではあったかもしれませんが、性格的に飽きっぽくて、何をやってもあまり長続きしなかった。
ラクロスをはじめた理由も、「競技人口が少ないからレギュラー取れるんじゃないか?」みたいな考えでしたから(笑)。
やっぱり、「データサイエンス」と「インターンシップ」に夢中になっていくことで、自然と変化していったんだと思いますね。
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質問:長期インターンシップにそこまで夢中になった理由はなんですか?
今振り返ってみると、あそこまで夢中になれた理由は、大きく分けて2つあると思います。
インターンに夢中になった1つ目の理由は、周囲の環境。
インターンシップに参加していた当時のメンバーは本当にすごかった。隣に座っていた上村くん(現・ 株式会社Albert代表)は、もうガリガリ頑張っていて、よく経営についてのフィロソフィーを熱く語っていました。
でもその頃の私は、とにかくデータ分析に夢中だったので、経営の熱い話をされても、どこ吹く風でしたけどね(笑)。
他にも高田くん(現・BuzzFeed Japan株式会社 代表)や巳野くん(Google株式会社 マーケットインサイトリサーチマネージャー)とか、今では社会で大活躍している超優秀なメンバーが揃っていたなぁ。
深夜オフィスで、寝るのも忘れるくらい私がデータ解析に夢中になっていて、深夜ふと我に返って隣のデスクを見ると、インターンシップの皆もまだ夢中になって働いてるんですよ。
互いに興味のベクトルは違っても、刺激になりましたね。
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もう一つは、大きなお題に挑めたこと。
一つのお題をクリアすると、またさらに大きなお題が与えられます。
といっても、研修用の課題なんていう生半可なものじゃないですよ。もう何から手をつけていいかもわからない、社員だって頭を抱えるようなリアルなお題です。
それに応え続けることで、大きな成果をあげることができました。
当時インターンシップ生のときにつくったツールは、日経新聞に取り上げられたり、その後特許をとったり、今でも商品として使われています。
この経験を通じて、ものすごい達成感も味わえましたし、何より自信になりましたね。
もちろん、その陰にはたくさんの失敗もあります。たくさんの経験をさせてもらい、インタースコープ時代の社長であった山川さんには、本当に感謝しています。
この二つの要素がなければ、もしかしたら、今まったく別の世界を歩いていたんでしょうね。
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学生に、どれだけチャレンジを与えられるか。
質問:博報堂、Googleといった超大手企業も経験したからこそ感じる、ベンチャー企業で働く魅力とは?
大手企業で働いていると、だんだん安定志向になっている自分に気づくんです。私にはそれが自分を消費している感覚だったんですよね。
高い給与はもらえるし、会社として世の中に与える貢献度もとても大きいはずですが、いち個人として貢献している実感が薄れていくと言った方が近いかもしれません。
そこで、「失敗してもいいから、もっと自分自身が主体となって、世の中に大きく貢献したい」と考え、現在の会社を立ち上げました。
Google社員にとって、起業することやベンチャーにジョインすることは、さほど特別な選択肢ではありません。
たとえ事業に失敗しても、その分何倍も人間的に大きくなって帰ってくる人を見ていますから、起業する際に不安はありませんでした。
それにインターンシップ時代にベンチャー企業が大きくなっていくおもしろさも見ています。その影響も大きいんだと思いますね。
東大生が考える、ベンチャーでインターンシップするメリットとは?
質問に戻ると、ベンチャーで働く魅力は「自分ができないことを、任せてもらえる環境がある。」これに尽きます。
大手企業の場合、重要な仕事は、どうしても実績や経験が豊富なベテラン社員に先に回りますよね。
でもベンチャーは人手が常に足りない一方、チャレンジしたいことは無尽蔵にあるので、若手でも身の丈以上のことを任せてもらいやすいです。
それはインターンシップ生にとっても同じことが言えると思います。日々、身の丈以上の「お題」にチャレンジし続ける環境で働くと、やっぱり実力はつきますよ。
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質問:現在運営されている、「freee」というサービスが誕生した経緯について教えてください。
Googleでアジアの中小企業マーケティング統括をしていたときに、日本の中小企業のテクノロジー活用が非常に遅れている現状を目の当たりにしました。
世界の先進国に比べて、日本で起業が少ない理由のひとつに、「中小企業向けのソフトウェアが遅れている」ことが大きいんじゃないかと考えました。
起業やビジネスをすすめる上で、経理業務などの煩わしさが障壁になっていることは大いにあるはず。そこを解決するツールがあれば、より誰でも気軽に起業がしやすい社会になるんじゃないか。
結果的に、日本経済の活性化に貢献できるはずだと考えました。それが、freeeという全自動のクラウド会計ソフトをつくろうと思った経緯です。
今思えば、私自身がインターンシップを通して学んだ、「既存のやり方をシステム化することで、すべてのプロセスが変わる」という原体験にも結びついてますね。
実際に、「freee」が短期間でここまでシェアを伸ばせている背景からも、この考えは間違っていなかったのではないでしょうか。
今後より一人でも多くの経営者や個人事業主の方に利用してもらうことで、日本のビジネスの発展に貢献していきたいですね。
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質問:最後に、貴社のインターンシップで大切にされていることを教えてください。
自分の経験も踏まえて、「どれだけチャレンジングな環境を与えられるか」ということを主題にしています。
freeeでは、まったく社員とインターンシップ生の区別がありません。
営業のトップセールスもインターンシップあがりの社員ですし、弊社が運営する「経営ハッカー」や自社サービスのサポートシステムの立ち上げも、インターンシップ生が自発的にやってくれました。
前例がないことへチャレンジするときには、みんなスタートラインが一緒。ぜひこの環境を利用して、新しいことに挑んでほしいですね。
その過程で、自分の歩んでいくべき道を見つけてください。
会社の規模は徐々に大きくなっていますが、それでも私含めた経営陣とインターンシップ生の距離は非常に近いかと思います。
こないだ私の結婚式では、企画・運営を全部インターンシップ生に任せたくらい(笑)。テーマが「夏祭り」で、ヨーヨー釣りなんかもあり、すごく楽しかったですよ。
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