面接で「苦労した経験を教えてください」と質問されたら、何と答えますか?
「正直、語れるほど苦労した経験はないし…」
「自分で言うのもなんだけど、今まで挫折せずにここまで来たからなあ」
という方も多いのではないでしょうか。
「苦労した経験」を語るのは難しいものです。しかし、なぜ面接官はこのような質問をするのか、をおさえておけば、エピソードや答え方も考えやすくなります。
ここでは、面接で「苦労した経験」を聞かれる理由と、適切な答え方について解説していきます。
この記事の目次
面接官が「苦労した経験」を質問する理由
面接官が「苦労した経験」を質問する理由は、「苦しい時に踏ん張って立ち向かえる力があるかどうか」を見極めたいからです。
仕事は苦労の連続です。取引先との交渉がうまくいかず受注に失敗したり、新しい事業が思ったように軌道に乗らず撤退したり。規模の大小はあれど、日々課題に立ち向かって改善の努力を積み上げていかなければなりません。
なので、苦労した経験を聞くことで、そういった時にどのような対応をするのかを判断しようとしています。
また、失敗から学ぶ力のある人材は、社会人としての成長スピードも速いです。課題を的確に理解して、結果を残すために改善すべきポイントを、自分の力で考えることができるからです。
会社では指示待ち人間は求められていません。そして、何度も同じ失敗を繰り返す人材は評価されません。課題にぶつかった時に、自分なりの解決策を試して、同じ失敗を繰り返さないようにする努力をする人材こそが評価されるのです。
面接官に苦労した経験や挫折した経験を聞かれると、「芸人さんみたいなインパクトのあるエピソードトークをしなきゃ…」と思ってしまいがちですが、エピソードの意外性やインパクトは一切求めていないのです。
部活やサークル、テスト、アルバイト、インターンシップなど、日常生活で起きた課題に対して、自分なりの工夫をした経験こそが重要になります。
「苦労した経験」は具体的に話そう
「資格の勉強を続けていましたが、不合格でした」
「毎日5時間、難関資格の勉強を続けていましたが、一回目は不合格でした。合格点までわずか15点だけ足らず、特定分野の問題でミスをしてしまっていたので、教授にも積極的に質問しながら重点的に勉強。2回目の受験で無事合格することができました」
2つの回答例を見ていただきましたが、どちらが理解しやすいでしょうか?
もちろん後者ですよね。苦労した経験のエピソードは、些細なことであっても具体的な数字や状況を説明することで、面接官にイメージしてもらいやすくなります。
そうすることで、「この学生は苦労に対して、これほどまでに頑張ったんだな」といい印象を持ってくれます。同じエピソードでも、具体的に話すのと話さないのでは、印象が全く変わるのです。
せっかく苦労を乗り越えた、改善の努力をした経験があるのであれば、しっかりと評価されたいですよね。なので、苦労した経験はできるだけ具体的に語るようにしてください。
また、苦労した経験は悪口や愚痴にならないように注意してください。
「親が○○大学に入れと言ったから受験したのに、不合格でした」
「チームメイトに妨害されて、こんな苦労をしました」
これでは、印象が悪いですよね。社会人になってからも、何かで苦労したり挫折したりしたときに、上司や同僚、部下のせいにばかりしている人は嫌われてしまいます。どんな困難も責任感を持って立ち向かう人こそが、活躍する社会人なのです。
苦労した経験は、具体的かつ人のせいにせず語るようにしましょう。
「苦労した経験」は乗り越えたプロセスとその結果が大切
面接官は、どんな苦労をしたかについてはあまり興味をもっていません。それよりも、「どう乗り越えたのか」「その結果、どうなったのか」を知りたがっています。
仕事でも、「新規事業に失敗した」という経験ばかり回想していても、何も前に向いて進まないですよね。
経営者のインタビューを読むときも、失敗した経験よりも、そこからどう立て直したかのサクセスストーリーが気になるはずです。
なので、面接で苦労した経験を聞かれた時も、乗り越えたプロセスと結果を分かりやすく伝えるようにしてください。
部活動で優勝するためには、これだけのトレーニングメニューをこなす必要があると考えた。だから、これだけの努力をして、結果を残すことができた。
バイトで不手際があり、お客様を怒らせてしまった。二度とお客様に不快な思いをさせたくないと思い、こういった点に気を付けるようにした。
具体的な数字を含めて伝えることで、入社後に課題にぶつかった時にどのような反応をするか、面接官はイメージしやすくなります。
苦労した経験や辛かった経験を聞かれて、身内の不幸があった話をされる学生がいます。もちろん、辛い気持ちは十分に分かります。でも、よく考えてみてください。面接官はどのような反応をすればいいか、対応に困らせてしまいますよね。
苦労した経験、辛い経験というのは、自分の能力・努力不足が招いた結果、というエピソードを選びましょう。自分ではどうしようもない経験は、「それはかわいそうですね」で終わってしまい、面接官が求める答えではありません。
また、あまりにも簡単すぎる苦労も避けるべきです。
「バイトで仕事が覚えられず、先輩に怒られたことが辛かったです」
こんな経験を語られて、採用したくなりますか?「そんなの社会人になったら毎日だよ!というか、仕事を覚える努力をしろ!」と思いますよね。苦労した経験は、面接官の視点で見た時にどういう印象になるかを、客観的に考えてチェックしてみることをおすすめします。
「苦労した経験」からアピールできる強み
苦労した経験や挫折した経験は、実はあなたの強みを最もアピールできるエピソードなのです。
まず、粘り強さや打たれ強さをアピールすることができます。どんな困難にも立ち向かう強いハートは、企業がとくに評価するポイントです。
そんなに大したエピソードじゃないと、謙遜する必要はありません。困難に一切立ち向かわず投げ出す人も、世の中には多いものです。
プラス思考もアピールできるでしょう。失敗しても、前向きに努力しようとする姿勢は、面接官にも大変好印象を与えることができます。失敗してそのまま立ち止まらず、フレキシブルにチャレンジしていけるという強みを打ち出してみましょう。
分析力も大きなアピールポイントです。失敗の原因を的確に見抜ける分析力は、社会人としても高く評価されるスキルです。
落ち込んで心が乱れそうになった時でも冷静に対処できる分析力や、当たり前だと思っていたことを別の角度から考えてみる能力は、どの仕事であっても活かすことができるでしょう。
そして、意志の強さもアピールポイントになります。失敗をめげずに、高い目標を目指す強い意思を持った人材は、どの企業も求めているはずです。
まとめ
面接で苦労した経験を聞かれても、焦ってはいけません。
面接官は「困難に対してどのように立ち向かうのか」というあなたの素質を見抜こうとしています。
エピソードは具体的に語り、どう解決する努力をしたのかという点を重点的にアピールしてください。
あなたの経験を高く評価してくれる企業はきっとあるはずです。