インターンとしてどのような仕事に取り組んでいるのか教えてください。
製造業向けAIプロダクトのモデル精度向上や、新モデル活用時の性能検証を主に担当しています。
最近注力しているのが、製造業における作業の見落としや手順のやり忘れを検出する異常検知です。複数の企業から提供された実際の作業動画を解析し、多様な環境や作業内容に応じた精度向上のアプローチを検証しています。
同じ手法を当てはめるだけで解決するケースはほぼないため、「この動画であれば、こうした工夫で精度が上がるのではないか」と仮説を立て、試行錯誤を重ねながら改善を図るのが主な役割です。あわせて、動画から人の作業工程を自動で一覧化するプロダクトなどの精度向上にも携わっています。
扱うテーマがかなり専門的ですが、大学での学びやご自身の専門領域とも重なる部分があるのでしょうか?
はい、まさに直結しています。大学では工学部の機械情報工学科に所属していますが、進学理由自体が「機械学習やAIを学びたい」という思いからでした。
授業だけでなく個人でも画像解析や機械学習の基礎知識を学んできましたし、現在所属している研究室もAIの画像分野に強みを持っています。そのため、大学で培ってきた関心や基礎知識が、そのままインターンでの画像・動画解析という業務に活きています。
自主学習や大学での学びがあった中で、なぜ長期インターンを始めようと思ったのですか?
知識をインプットして勉強を進めてはいたものの、それだけでは「実際に実務で使える感覚」がつかめず、本当に知識が身についているのか確かめきれないもどかしさがありました。また、当時の大学の講義だけではAIを専門的に扱う機会も限られていたため、知識をアウトプットできる実践の場を探していたんです。
そんなときにこの長期インターンの存在を知りました。自分が個人の学習や研究で扱っていた画像処理の分野と事業領域がまさに合致していたため、「ここなら自分の知識を実務で試し、さらに深められる」と感じて挑戦を決めました。
実務では具体的にどんな技術を使っていますか?
画像分類や物体検出など、画像・動画に関する機械学習の技術を扱っています。また、Video Understanding(動画理解)やAction Recognition(行動認識)といった領域にも取り組んでいます。
画像解析については入社前から自主的に勉強していましたが、LLM(大規模言語モデル)やVLM(視覚言語モデル)などは、インターンに入ってから触れるようになりました。
新しいモデルが出た際には、実際に使ってみて、現在取り組んでいる課題に活用できるか、より良い結果が得られるかを検証することもあります。
インターンとして仕事に取り組む中で、特に印象に残っているエピソードはありますか?
自分が精度向上に取り組んだモデルについて、実際の顧客企業とのミーティングに参加したことです。
企業の担当者様に対して結果をお見せした際、「ここはどうなっているのか」「このケースは検証できているか」といった鋭い質問を直接いただきました。自分としてはそこそこ精度が高い結果だと思って臨んだのですが、実際にプロダクトを使う企業の方々がどのような視点で結果を見ているのか、何にこだわっているのかを知る大きな機会になりましたね。
ただ精度数値を上げるだけでなく、実社会で使ってもらうための「顧客の肌感」を知ることができ、非常に学びの多い体験でした。
実際に取り組んでいる業務の難しさはどんなところですか?
企業のデータごとに条件が異なり、一般的なモデルをそのまま当てはめてもうまくいかない点です。
製造業では、企業によって動画の撮影環境や作業内容が大きく異なります。「作業ミスを一つも見逃さずに検出したい」と思っても、決まった解法はありません。データの特性に合わせて「こういう工夫を加えれば精度が上がるのではないか」と自分で調べ、仮説を立てて検証する。そうしたトライアンドエラーを繰り返すところに、技術的な難しさがあります。
大学の授業や教材での勉強と、実務にはどんな違いがありますか?
大学の講義は「すでに確立された知識を教わる」場ですが、インターンでの実務は「まだできるか分からない課題」に対して、顧客企業に提示できるレベルの結果を出していかなければいけません。あらかじめ正解や解法が用意されている教材とは大きく異なります。
どちらかといえば、大学の講義よりも「研究」に近い感覚です。実際の企業データや製造業の作業動画を扱い、以前試してうまくいった方法を別のケースに応用するなど、実データでの試行錯誤を通してノウハウや知識が積み重なっていく面白さがあります。
社内の雰囲気や、社員の方との関わりについて教えてください。
社内はすごくフレンドリーで、業務で壁にぶつかった時もすぐに相談できる頼れる環境があります。
オフィスには専門知識と経験が豊富なチーフエンジニアや正社員の方々が常時いらっしゃるので、検証で行き詰まったり精度が上がらず難航したりした際も、「ここで詰まっています」と聞けばすぐに「じゃあこれを入れてみたら?」「このアプローチはどう?」と具体策をアドバイスしてくださいます。
一人で抱え込んで手が止まってしまうことがなく、安心して試行錯誤に集中できるのはすごくありがたいですね。
長期インターンシップでの経験は大学の研究にも活きていますか?
非常に活きています。インターンで日々インプットとアウトプットを繰り返し、最新の知識や実践的なノウハウを蓄えていたおかげで、大学4年で研究室に入った時点から、講師や研究員といった専門家の方々と専門的な議論ができるだけの知識を持つことができました。 研究室に入ってすぐにそのレベルで議論ができるアドバンテージを実感していますし、実務と研究の相乗効果で専門性をより深められていると感じます。
大学や研究室とインターンはどのように両立していますか?
正直に言って楽な両立ではなく、ある程度ハードワークにはなります。大学3年の頃は朝から講義を受けて、終わったあとにオフィスへ向かって勤務する日々でした。 両立のコツは、優先順位を明確にして「メリハリをつけること」。自分の研究室はコアタイムが決められていないフリーな体制なので、「この日は大学の研究」「この日は一日中インターン」というように日単位でスケジュールを分けて稼働しています。シフトも月単位で登録でき、試験期間や学業の状況に合わせて柔軟に調整してもらっています。
今後挑戦したいことを教えてください。
これからは、実際の工場で作業員の方々が日常的に使える、定着するレベルのプロダクトやモデルを作っていきたいです。
顧客企業とのミーティングを通して実感しましたが、検証結果をお見せしてすぐに実運用のプロセスへ組み込めるわけではなく、入念な評価と改善が必要です。一朝一夕にはいきませんが、チームで協力しながら実社会で機能する成果物を追求していきたいと考えています。大学院に進学した後も、この分野で技術を磨き続けていく予定です。
最後に、長期インターンを考えている学生へメッセージをお願いします。
学業との両立や忙しさへの不安などから、踏み出すのを迷うこともあるかもしれません。ただ、もし自分の興味のある分野と会社の事業がマッチしているなら、ぜひ一歩踏み出してみることをおすすめします。
大学の講義や一人での学習だけでは届かない、高度な知識や実践的な経験を掴めるチャンスがインターンにはあります。自分が心から挑戦したいと思える領域に合致した環境であれば、自然と学び続ける楽しさを感じられますし、忙しさ以上に得られる経験や成長の大きさを実感できるはずです。