- 社名:税理士法人ASC様
- 設立:2014年7月
- 従業員数:77名
- 学生インターン:5名
- 事業内容:全国各地の多業種に会計税務サービスを行っている総合会計事務所
- お話を伺った方:代表社員 中村健一郎様
(2024/7月時点)
育てたインターン生を新卒採用!長期的に人材育成を考える
-まずはじめに事業内容を教えてください。
社会保険労務士法人や行政書士法人など、士業法人グループのASCグループの中心となるのが税理士法人ASCです。税理士法人ASCは、税務申告、会計事務、給与計算、法人設立支援、経営支援など多岐にわたるサービスを全国の法人および個人のお客様に提供する総合会計事務所です。
東京都港区、横浜市、神戸市に拠点があり、全国各地のIT、不動産、ゼネコン、保育園など幅広い業界のサポートをさせていただいております。
-御社には2018年からゼロワンインターンを通じて長期インターンシップを導入いただいています。当時、長期インターン生を採用しようとお考えになったのは、なぜだったのですか?
弊社には「社員の長期的な幸福を追及する」という経営理念があります。人の幸福は何かを考えたとき、「成長していくこと」にあると考えます。最初は若手として入って来て、先輩や上司に指導される立場かもしれませんが、いずれ、後輩を指導する立場に変わっていきますよね。短期的な利益でみるのではなく、長期的にみれば本人の成長にもつながりますし、その人が属する組織の成長にもつながります。それをするには、常に新しい人が入ってくる環境が必要です。弊社の場合の新卒採用や長期インターン導入はそうした観点からです。
そして、インターン生の方を新卒採用の候補者としてみていたという面もあります。新卒採用の面接で数回来ていただいただけでは、その人についてわからないことも多いですよね。インターン期間中に仕事ぶりや人柄を直接見て判断できるので、採用のミスマッチを防ぐことができています。
-長期インターンシップ導入が採用活動につながっているのですね。
はい。過去の累計で、12名が新卒採用に至っています。
‐会計業界は新卒採用をする事務所は多くないと言われていますね。
そうですね。ただ実は、わたしたちは20年以上前から新卒採用を行っています。最近になって、新卒採用をする会計事務所も増えてきましたが、当時は新卒採用をしていた会計事務所は数えるほどだったと記憶しています。
会計事務所は約9割が9人以下の小規模な事務所です。ですから、新人を育てるよりも、経験者を中途採用する場合が多く、人を育てるということに注力してこなかった面もあります。
弊社は、80人弱の従業員がおりまして、会計事務所としては規模が大きく、未経験者を採用して次の世代を育てるというサイクルが出来上がっています。
‐どのような教育体制でインターン生を指導しているのですか?
インターン生には、業務を任せる前に、まず基礎的な会計と税務、社会保険や労働保険などについて動画で学んでもらいます。その後、実務では先輩社員がマンツーマンで指導し、隣で一緒に仕事を進めてもらいます。分からないことがあればすぐに質問できる環境です。これは特にインターン導入に合わせた研修ではなく、新卒者も別業界からの中途採用の方も同様の流れですね。
手続きはオンラインでもできる。でも、あえて足を運んでほしい。
-インターン生に任せている仕事を教えてください。
主に先輩スタッフの補助業務です。確定申告書の作成やお客様からお預かりした資料を会計ソフトに入力するなどの業務があります。例えば、確定申告書の作成だと、まずは簡単なデータ入力から始め、次第に簡単な法人の申告書作成を担当してもらいます。初めてお客様対応をするのは入社後約半年経ってからなので、それまでは基礎的な業務を通じてスキルを磨いていただいています。あとは、法務局や公証人役場に書類を提出しに行ってもらったりしています。最近は、オンラインで手続きできることも多いんですけどね。
‐そういった場所に実際に行くことが大事なのでしょうか?
会計事務所に関わる外部機関に足を運ぶことで業務の全体像を把握しやすくなる面もあるので、インターン生には手続きに行ってもらっています。会計事務所の仕事では、税務署、公証人役場や法務局、併設する社労士法人の仕事では、労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所に行くことがあります。例えば、公証人役場には、元裁判官や元検察官の方がいらっしゃる。一見、普通のおじさん、おばさんに見えますが、実は只ものじゃない。法務のプロフェッショナルの働きを実感できるおもしろい場所なんですよ!社会人になっても訪れる機会が少ない場所に行くことで、業務の重要性や社会との関わりを実感してもらいたいと思っています。そういう場所に行くことを楽しんでほしいですね。
‐それは貴重な経験になりそうです。会計事務所で働くインターン生の特権ですね!
期待値調整が長期インターン導入成功のカギとなる⁉
-想定していた学生からの応募はありましたか?
はい、ゼロワンインターンからの応募は、想定していた学生層から多くいただいています。導入当初は軽い気持ちで応募されたかたも見受けられましたが、数年続けていくうちにゼロワンインターンを通じて応募してくる学生は、会計や税務に対する関心が高く、真剣に業界でのキャリアを考えている方が多いという印象です。
‐インターン生を採用するにあたって重視した点は?
重視した点は主に人柄と私達の組織や仕事への熱意というか関心の高さです。他のスタッフと円滑にコミュニケーションを取れることが大切ですし、うちで働きたいと思っているかどうかは重要だと思っています。
‐インターン生の採用条件についてはいかがですか?
インターン生には簿記二級を条件としています。簿記三級では基本的な知識が不足するため、簿記二級程度の知識を持っていることが望ましいです。簿記二級の知識があれば、会計と税務のうち、会計の方は概ね理解しているため、実務によりスムーズに入ることができます。
しかし、税理士資格の取得を目指している必要はなく、学ぶ意欲があれば、実際の業務においては先輩社員がサポートする体制を整えているので、入社後に学んでいけば大丈夫です。
-長期インターン導入の難しさや大変さはありますか?
インターン生に対しては過度な期待をしていないつもりなのですが、たまにやる気を感じられない人には残念に思うことがあります。
就職活動の流れでインターンはしておかないと、とでも考えての応募だったのかもしれませんが、どうせなら真剣に取り組んでほしいと思います。
このようなことがないよう、インターン生として採用する場合でも、ただ、税金や会計の仕事がおもしろそう、興味があるというだけでなく、実際に本当にこの業界で働きたい、就職を見据えているような意志がある方かどうかを見極めるようにしています。
‐今後も長期インターンは導入する予定ですか?
はい。インターンは引き続き導入していく予定です。長期インターンを通じて優秀な人材を早期に発掘できますし、将来の採用につなげていけたらと考えています。また、ゼロワンインターンのシステムはシンプルで使いやすく、応募から選考までのプロセスが効率的に進むので、こちらとしても非常に満足しています。
-ありがとうございます!最後に長期インターンシップの導入を考えている企業様にメッセージをお願いします。
ゼロワンインターンを利用する学生は、前向きにしっかりと長期インターンシップをやりたいと考えている学生が集まっていると思います。ですから、我々企業側も期待値を適切に調整し、柔軟に対応することで、インターン生にとっても企業にとっても有益な経験となるのではないでしょうか。