- 従業員数:30名
- インターン生数:12名(インサイドセールス/マーケティング)
- 事業内容:認証システムを中心としたソフトウェア、ハードウェアの開発を手がける。ユーザー認証のスペシャリストとして、大手通信会社などへサービスを提供している。
- 代表取締役 代表取締役 潮村 剛 様
(2021年1月時点)
営業課題の解決のため、インターン採用を始めました
-最初に、御社の事業内容を簡単にご紹介していただけますか?
私たちは認証に関わるソフトウェア製品の開発、販売、サポートなどを行っています。
この分野で20年以上の実績があり、通信キャリア向けに大規模認証システムを導入・支援してきました。
近年ではSSO(シングルサインオン)やID管理に力を入れています。
インターン生には、自社のインサイドセールス、マーケティング業務を行なってもらっています。
-インターンシップ導入前、社内ではどのような課題を抱えていましたか?
展示会やセミナー等で自社製品のPRをしていたのですが、そこで名刺交換をした方々と商談に繋がるケースがあまりありませんでした。
営業が幅広い業務を抱えていたことから、名刺交換した方へのアプローチが十分にできていなかったんですね。
そこで、これまで営業が行なっていたリード獲得から契約までのプロセスを段階ごとに切り分けて、「見込みのお客様を集めるマーケティング」「商談へ繋げるインサイドセールス」「商談を行うフィールドセールス」という独立した職種を作りたいと思ってました。
ただ、インサイドセールスの知見が社内に全くなく、一緒にインサイドセールスの体制を作ってくれる方はいないかな、というのが当時の状況でした。
-そこから、どのような経緯でインターンシップを導入されたんですか?
実は、大学生の娘がインターンとしてうちで既に働いていて、「学生でも意欲がある方であれば、ある程度の実務を任せられる」ということが分かってきたんですね。
それなら、学生チームを組んで、本格的に業務に取り組んでもらうのもアリかなと思い、インターン採用を始めることにしました。
-経験者採用という選択肢もあると思いますが、そこは検討しなかったのでしょうか?
検討しなかったわけではありませんが、難しいかなと考えていました。
インサイドセールス経験者といっても、既に仕組みができた中で業務を行なってきた方が大半で、0から体制を作ったことがある方は少数派じゃないかと思っていたんですね。
中には0から1の体制を築いてきた方もいると思いますが、少なくとも、うちのような小さい会社へ来てくれる人材を見つけるのは難しいだろうなと。そういう意味で、経験者採用という選択肢は最初からあまり無かったです。
-なるほど。インターンシップの募集はどのように行いましたか?
初めは大学へ連絡してみたのですが、学校のインターンシッププログラムは、実務型ではなく、企業から課題を与えてくださいという形式で、私が求めていたものとは違いました。
学生に実務を任せられるインターンなんてあるのかと思っていた時、たまたまゼロワンインターンさんから案内メールが届き、まさにこれだ!と思って、掲載をしました。
結果的に1ヶ月間で17名の応募があり、4名の学生を採用できました。
学生の活躍によって、インサイドセールスの土台が出来ました
-社内に教えるメンバーがいない中、インターン入社後はまず何からスタートしましたか?
まずはSalesforceの操作、管理方法など覚えてもらいました。
同時に、弊社の営業の流れを説明して、興味は持ってくれたけどまだ商談に繋がっていない見込み顧客へ、どのようにアプローチすればいいかを社員と話ながら決めました。
例えば、メールでニュースレターを送って反応をみてみたり、セミナーで名刺交換した方へ電話で感想をヒアリングしてみる、といった形です。
といっても、私たちもインサイドセールスの知識はないので、インターン生に外部の勉強会に参加してもらって、そこで教えてもらったことを試す、といったこともやっていましたね。
-全員が手探り状態だったんですね。体制の構築は順調に進みましたか?
いえ、社員も一緒になって悩みながら、本当に少しずつ形にしていきました。それこそ、回り道は数えきれない程あります。
例えば、当初はセミナーの1ヶ月後に参加者へ電話をしていたのですが、「そんなの覚えていない」と言われることがほとんどでした。今考えると当たり前ですが、当時は、電話は効果がないかもしれない、と判断して、早々に取り組みをやめてしまったんですね。
そこからメールに絞ってアプローチを続けましたが、2〜3ヶ月間、成果が出ませんでした。
それで1名のインターン生が「やっぱり電話も掛けていいですか?」と言うので、もう一度、セミナー後に期間を開けずに電話したり、これまで連絡をしていなかった方々に電話をしたところ、効果が出始めました。インターン生が声をあげてくれたおかげですね。
こうしたことを繰り返し、インターン生を受け入れてから2年が経過した現在、インサイドセールスの大枠のやり方が出来上がりました。当初の目標だったインサイドセールス経由の商談件数を今期中には達成できそうだというとこまできています。
最近は、新しい挑戦として、潜在的な顧客を見つけるマーケティング部分の一部をインターン生に任せていて、Googleアナリティクスを使ったHPの分析やブログ記事の執筆、セミナー動画の編集とYouTubeへの投稿なども行なってもらっています。
-紆余曲折あったわけですね。途中で学生がめげたりはしなかったですか?
やれることはやったけど、成果が出ない。でも明日もやらなくちゃいけない、という点で、モチベーションが下がっている時期は確かにあったと思います。
そこは魔法のやり方があったわけでは全くなくて、一緒に悩む社員がいる状況が、彼らのモチベーションが落ちきってしまうことを防いだのかなと思います。
あとは、コロナになってからは出来ていないのですが、それ以前は2週間に1回、インターン生と彼らをサポートしていた社員を連れて、必ず飲み会に行っていました。
仕事以外のことでもなるべく経験になることをしてあげたかったので、少しお高めのお店を選んだりして、それで、また明日から頑張ろうという気になる方もいたと思います。
-なるほど。企業としては、成果が出ない期間もあった中、どうしてそこまで根気強くインターンシップ採用を続けられたんですか?
インターン生は、自分から手を上げて色々なチャレンジをし続けてくれるので、数ある施策の中で、どの道が成果に繋がり、どの道が行き止まりか、明らかにしてくれるのは助かります。社員だけで既存業務をしながらそこをやるのも難しいですしね。
徐々にですが成果も出ていましたし、時間はかかっても、いつかは必ず芽がでるだろうと信じていました。
それに、新しいことを始めるのであれば、成果が出るまでそれなりに時間はかかるだろうと覚悟もしていました。
インターン生には「なるべく早く失敗してね」と伝えます
-インターンシップ採用を通じて、社内にどのような変化がありましたか?
うちの会社は、私世代の40代・50代のメンバーが多いんですね。
自分の息子、娘世代の方を採用するということで、始めは半信半疑だったメンバーも、徐々に商談が増えていくにつれて、「大学生もやればできるんだ」「こういうやり方もありなんだね」と少しずつ分かってくれるようになりました。
それに、自分の子供世代の方と一緒に働くとなると、やはり他のメンバーも頑張ろうという気持ちになるんですよね。
ずっと同じメンバーで活動してきたので、そこに若い方が入ったことで、緊張感とまでは言いませんが、良い意味で気が引き締まったと思います。
-最後に、インターンシップを検討している会社に一言お願いします。
決まりきった仕事を任せるためにインターン生を採用するのも良いですが、新しい取り組みを思い切って任せてみる、というのも一つの手かなと思います。
私はインターン入社初日に「君たちは失敗する権利がある。会社が責任を負うと決めて受け入れているから、なるべく早く、なるべく大きな失敗をしよう。失敗を恐れず、どんどんチャレンジしてね。」と伝えています。
そういうと、挑戦してくれる学生はたくさんいるんですよね。どのチャレンジをするべきかは、社員が取捨選択すればいいだけ。
せっかく意欲的な大学生を受け入れたのに、「学生がチャレンジしなくてどうしましょう」と言っているようじゃ勿体ないです。
会社としても経験のない業務を任せることは、楽ではないとは思いますが、その方が学生にも自分たちにも良い影響があるのかなと思います。