- 従業員数:15名
- インターン生数:20名
- 事業内容:Webシステム開発、ゲーム開発、自社オープンソースプロダクトなど、受託開発から自社サービス開発まで幅広く行う。
- 代表取締役 武井 雄紀 様
(2021/1時点)
後輩インターン生を採用したら、先輩たちの動きが変わりました。
Q.最初に簡単な会社紹介をお願いします。
WESEEKは、UIデザインからネットワーク・インフラ構築まで全て自社開発しているシステム開発会社です。
通信大手企業の業務フロー自動化プロジェクトやソーシャルゲームの受託開発、自社発オープンソースプロダクトの開発など、受託から自社サービス開発まで幅広いプロジェクトに取り組んでいます。
現在は、社員15名とインターン20名が在籍し、バックオフィスメンバー数名以外は全員エンジニアです。
Q.インターンシップはいつから導入していますか?
3年前から本格的にインターンを採用しています。
というのも、5年ほど前、まだ社員が6〜7名だった頃、学生さん数名をインターンで受け入れたことがあります。
数ヶ月の期間限定のインターンでしたが、意欲的に仕事に取り組む学生さんの存在は、組織にこれまでにない活気を生んでくれて、インターンってすごく良いなと感じたんですね。
その後、携わっていた案件が無事リリースされ、プロジェクト解散と共にインターン生がいなくなり、また社員6〜7名の体制に戻りました。
暫くは正社員採用に注力していましたが、採用は上手くいきませんでした。それなら過去の成功体験もあるし、インターンから正社員登用を狙ってみようかということで、3年前から本腰を入れてエンジニアインターンの採用を始めました。
Q.現在は20名のインターン生が活躍しているということですが、最初からそれだけの人数を受け入れようと思ってたんですか?
いえ、当時はまだ社員も6〜7名だったので、さすがに学生20名は考えてませんでした。
ただ、本格的に採用を始めた年に10名の学生を採用していたので、社員・インターン比率でいうと今と同じくらいですね。
Q.初年度から社員数以上の学生を採用するってすごいですね。
何名採用するかすごく迷いましたけど、仮に失敗しても社員採用と比べたらコストは少ないので、たくさん採用することにしました。
とはいえ、一度に10名採用したわけではありません。最初に受け入れたのは4名です。
実は、初めは社員6〜7名でインターン4名を育てるのは、結構大変だなという印象だったんですね。
その印象が変わるキッカケとなったのが、インターン生を追加採用したことです。
1名のインターン生が卒業したため、新たに追加採用したところ、それまでいた先輩インターン生に変化が起きました。
うちの会社は「自分ができるようになったことは、他人もできるように教えていこう」という組織文化があり、試しに新人インターンの育成を先輩の子達に任せてみました。
そうすると、「先輩だから、後輩には負けてられない」という意識が出て、先輩インターン生がすごく成長してくれたんですよ。
結果的にその子たちが戦力化して、新しい子を受け入れる余裕が出てきました。
同じ世代は仲間として同期意識を持ってもらう。先輩のインターンが後輩を教える。こうしたジェネレーションの考え方を意識するようになってから、採用人数を増やしていけるようになりました。
それから、インターン採用2年目、3年目に毎年7〜8名の学生を採用しています。
Q.あえて早い段階で後輩の育成を任せることが、インターンの成長を引き上げたんですね。
はい。少し話は逸れますが、今年、同じ時期に採用したインターン5名の入社日を同じ日にしてみることにして、これがすごく効果的でした。
入社日が違うと、1日違いだったとしてもどうしても先輩、後輩の意識を持っちゃうんですよね。でも、同じ日に入った子たちは間違いなく同僚ですよね。
その5人が自然とお昼ご飯を一緒に食べに行くことなんかもあって、少し調整して同じ日にいれるだけで同僚意識を持ってもらえるなら、今後は全部そうしようと思っています。
インターン面接でこれだけ熱心に話をする会社は他にないみたいです
Q.インターンシップでは、どのような学生を採用しましたか?
同じタイプの子をたくさん入れるのではなく、色々なタイプの学生さんを採用しました。
技術力が高い子、技術的にはまだまだだけど、元気枠としてとにかく明るい子、エンジニア転職を目指す社会人インターン、など幅広く受け入れましたね。
というのも、当社はそれまで固定された少数のメンバーで、かつ縁故採用がほとんどだったので、知らない内に似たような考えの人材が集まっていました。
組織の血の巡りをよくするには、これまでにない人材を採用することが重要だと、最初のインターンシップで学んだからです。
半年後には、海外の大学に通っている学生も採用しました。
海外の大学の子たちは5月〜8月くらいに一時帰国したタイミングでインターンシップに参加することがあります。
彼らは、技術力が高いだけではなく、英語もできて、海外インターンの文化に慣れています。社会人と同じ意識で仕事をしてくれるため、周りの学生もすごく刺激を受けていました。
3〜4ヶ月の期間限定でしたが、組織に非常に良い影響を与えてくれましたね。
Q.インターン生は、どのような仕事に携わっているんですか?
全ての開発プロジェクトにインターン生がいます。
どのプロジェクトにアサインするかは、インターン選考段階で学生本人に希望を聞いています。稀に変更してもらうことはありますが、基本的に本人の希望に沿ってアサインしています。
うちは、デザイン・プログラミング・サーバーサイド・インフラ・ネットワークまでエンジニアリングの全ての領域で仕事があるので、自分の好きな分野にチャレンジできるのは、学生にとっても魅力的みたいです。
Q.インターンシップ入社後は、どのように仕事を任せていますか?
初日は、既にあるマニュアルに従って開発環境の構築から始めます
2日目からは他の社員やインターン生と同じように早速開発タスクに取り組んでもらっています。
もちろん、学生さんによって技術レベルには差があるので、プログラミング経験が浅い子にはこれ、スキルが高い子にはこれ、といったようにそれぞれのレベルに合ったタスクを任せています。
ただし、これはインターン生に限らずですが、うちは上からタスクが降ってくることはありません。自分でタスクを見つけていけないと価値あるプレイヤーではないと考えているからです。
そのため、入社直後のインターン生でも、プロジェクトメンバーに自分から相談してタスクを見つけてもらうようにしています。
実際に任せるタスクは、チームメンバーがその子のスキルに合わせて調整していますが、少なくとも「誰かが仕事をくれる」という待ちの姿勢にならないように求めています。
厳しいかもしれませんが、社員とインターンを区別しない、というのはこういうことだと考えていますし、インターン生にも面接の段階でうちはそういうやり方だよと伝えています。
Q.学生も働き方を理解した上でインターンに参加しているんですね。
私はインターンの面接で50分くらい話すんですよ。どういう想いで採用しているか、入社後は何を任せているか、とか一人一人に本気で気持ちを伝えています。
今いる子たちに聞くと、「インターン面接でこれだけ長く熱心に話をする会社は他になかった」と言われます。
その中には、厳しい言葉も含んでいます。
「僕たちは、社員を育てるのと同じ熱量で君たちに接するから、インターンをやるからには本気でエンジニアとしてプロフェッショナルを目指してくれないとダメなんだよ」と。
それらを伝えた上で参加してくれる子たちのため、ある程度、覚悟を持ってきてくれているかなと思います。
「採用者の熱をいかに育成担当にも伝えるか」がポイントでした
Q.インターンシップの受け入れで苦労したことはありますか?
プロジェクトによって、早く成功したプロジェクトと、最初は上手くいかなかったプロジェクトがあります。
上手くいかなかったというのは、インターン生の離脱が多かったり、戦力になる子が出てこなかったという意味です。
上手くいっていない社員からよくよく話を聞くと、社員自身がどこかで「インターン生が増えたら、自分たちの負担が増える」と考えてしまっていたんですね。
そこで、社員の皆のインターン育成に対する意識改革を狙って、一度、僕のインターン面接に同席してもらうことにしました。
面接の様子を見た社員が、「社長がこれだけ発破をかけて、それでもやります!と言ってくる子たちなら、相当なやる気と覚悟を持って来ているはず。だったら、自分たちも本気で育てようと思わないとダメですね」と僕の熱量を感じ取ってくれたんですね。
そこから、上手くいってなかったプロジェクトでもインターン生が活躍し始めて、上手くいくようになりました。
採用者が必ずしもインターン生を育成するわけではない、となったときに「採用者の熱をいかに育成担当にも伝えるか」ということが学生受け入れのポイントだったのかなと思います。
Q.学生の意気込みを知ることで、社員さんの意識が変わったんですね。
はい。そうしてプロジェクトが上手く回り始めると、社員の働き方にも変化が出てきました。
うちはプロフェッショナル主義なところもあって、仕事で成果を出していれば、稼働時間は短くとも良いという風土があります。
そのため、デキる社員ほど、早めに仕事を切り上げるというのが通例になっていました。
それがインターン生と接するようになってから、稼働時間が伸びた社員がいます。
これは決して学生に足を引っ張られたとかネガティブな意味ではなくて、純粋に「インターン生に教えるのが楽しいから」っていう理由だったんですね。
これまで成果主義で動いてた社員が、部活動みたいな感じで「時間使っても楽しいからいいや」と時間外活動を始めるようになった。これはすごく大きい変化だと思います。
Q.最後に、これからインターン採用を始める会社に一言アドバイスをお願いします。
企業もビジネスなので、最初にコストを計算し、そのコストをいつ回収できるかっていうことを考えて採用をスタートすると思います。
ただ、個人的には「まずは与えるところから」の精神も必要だと感じています。
戦力化したい、新卒採用したい、っていうリターンだけを考え始めると「無駄なことはやってられない」みたいな壁にぶち当たって途中で頓挫してしまう気がします。
僕たちもはじめは新卒採用を視野に入れてスタートし、実際、昨年2名の学生がうちに新卒入社してくれました。
非常に嬉しいことではありますが、それとは別に、当初の目的とは全く違う種類の恩恵もたくさん受けています。
熱量を持って真剣やり続けること、絶対いいものが返ってくると信じてやることがインターンを成功させる上で大切だと思いますね。
私たちは、去年から卒業したインターンと現役インターン全員を集めたサミットを始めてみました。
現役インターン生が何をやっているか、過去の卒業生がどういう仕事をしているか、WESEEKのインターン生がどう役立ったか、そうしたことを共有する場所です。
この取り組みは全員にとってメリットしかないと思っています。インターン採用を継続している会社さんはこうした取り組みをしてみても面白いかもしれません。
最終的には、WESEEKから色々な会社にインターン生が羽ばたき、お互いが繋がって、「一緒に起業することになりました!」みたいな機会が生まれたら嬉しいですね。