- 従業員数:80名
- インターン生数:4名
- 会社紹介:国内最大級の子どもとおでかけメディア「いこーよ」、おでかけコンシェルジュ「いこレポ」、子どもの日齢通知サービス「BetterDays」などの運営を行う。新規事業として、子ども向け農業体験コミュニティ「ジュニアビレッジ」の立ち上げを5年前から開始、2年前に法人化。
- 代表 下元 敬道 様
(2021/1時点)
毎年インターンを採用。累計50〜60名の学生を受け入れてきました
-まず簡単に会社紹介をお願いします。
当社は、国内最大級の子どもとおでかけ情報サイト「いこーよ」を運営している会社です。
「いこーよ」は、親子で遊べるおでかけスポットやイベント情報、育児情報を発信しており、毎月1,000万人以上のパパ・ママが訪問してくれています。
最近では、農業や海をテーマにした子ども向けの体験イベント、地域活性化事業にも注力しています。
-インターンシップを導入したきっかけを教えてください。
起業前に勤めていた会社でインターン採用を行なっていて、当時からすごく良い仕組みだなと感じていました。
学生さんにとっては、社会人になる前にしっかり社会のことを学べるという意味で有意義ですし、ベンチャー企業にとっても、経験に捉われずに「とりあえずやってみよう!」というマインドを持った人材を採用できるという点は相性が良いと感じていました。
中途採用だと、経験を積むことで、やる前から「これは出来ない」「あれは難しい」と頭でっかちになってしまう人もいますからね。
設立から17年目になりますが、設立2〜3年目にインターン採用を始めて以来、毎年3〜4名の学生を採用しています。累計50〜60名くらい採用してきました。
-現在は何名のインターン生がいるんですか?
4名です。1名は親子向けWebメディア「いこーよ」の運営業務、3名は新規事業の立ち上げに携わっています。
マニュアルのある仕事ではなく、日々新しい問題に立ち向かうインターン
-インターン生が携わっている新規事業について、詳しく教えていただけますか?
5年前に、「ジュニアビレッジ」という地域活性化を目的とした小・中学生向けの農業体験プログラムを立ち上げました。
子どもたちは自分たちで農業をやりながら、収穫した農作物を加工して販売するところまで1年かけて取り組みます。体験で終わるのではなく、事業としてちゃんと黒字を出すことをゴールにしています。
このジュニアビレッジの立ち上げを、関連会社の社長や役員3名とインターン生3名の計6名で行なってきました。
-具体的に、インターン生にはどのような業務を任せているんですか?
新規事業のほぼ全てに関わってもらっています。
最初は、農作業を経験しないことには何も分からないので、インターン入社後はまず、畑に行って、子ども達と一緒に農作業をするところからスタートしてもらいました。
その後は、参加者をどうやって集客するか、農作物をどのように加工するか、商品のパッケージはどうするか、販売価格はいくらにするか、など様々な課題に取り組んでもらっています。
新規事業なのでやるべきことは山ほどあるわけです。
参加者を増やすために、子どもたちの作業風景をSNSに投稿してみる。ドレッシングを作るためにフードコーディネーターさんを探して協力を依頼してみる。なるべく安い加工業者さんを見つけるため、複数の業者を比較してみる・・。
「決まった手順に沿って仕事をする」のではなく、「目の前の問題をどう解決していくか考えながらやってみる」インターンですね。
-仕事のマニュアルがない中で、未経験の学生が活躍できるものなのでしょうか?
最初は、「やったことないので分かりません」「誰が教えてくれるんですか?」とみんな戸惑いますよ。
でも、自分で考えて動いてみたら?と言い続けていると段々インターン生もそうした働き方を身につけていくんですよね。
例えば、うちの要望に沿った農作物の加工業者さんを見つけて欲しいという仕事をインターンに依頼をした際、「業者さんをどう比較したらいいか分からない」という子がいました。
そのような時は、「値段はいくら?過去の実績は?どういう分野に強い?だいたいこのあたりが必要かもって目星はつけられるよね。俺も答えは分からないから、自分なりに考えてやってみなよ」と、自分で考える習慣が身につくように助け舟を出しています。
また、インターン生を一番近くで指導しているのは、ジュニアビレッジを手がけている関連会社の社長や取締役です。その中には、キッザニアの立ち上げに参画していた凄いメンバーもいます。
事業立ち上げメンバーというと、魔法使いのように何でも解決しちゃうってイメージを持つ学生が多いんですが、まさにそういう人達ほど、「分からないことをサッと調べて、小さく試して、ダメならすぐ修正する」ということを繰り返しているだけだ、というのが分かります。
そうした人達の間近で働くことで、とにかく仮説を立てて、小さく試すことが重要なんだとインターン自身が実感していると思います。
インターン入社から3〜4ヶ月くらい経つと、僕らが教えなくても自発的に動いてくれるようになりますね。
-中には「1から仕事を教えてもらいたい」という学生もいると思いますが、そうした採用のミスマッチはありませんでしたか?
インターンの面接でちゃんと実態を伝えるようにしているので、イメージしていた環境と違うというギャップは防げているかなと思います。
面接では、「新規事業は問題ばかり起きるし、社員も答えが分からない。問題を一緒に解決していくインターンになるから、自分でやるべきことを見つけて動いていく覚悟がないと多分厳しいよ。」と伝えています。
今いる子達は、これを理解した上でインターンに参加してくれているので、早いうちに働き方に慣れてくれたのかなと思います。
あと、新規事業インターンに限らずですが、自分なりに絶対これをやり遂げたい、こういう力を身につけたい、という想いがないとインターンを継続するのって難しいと思うんですよね。
「学校もあるし、友達とかの誘惑もあるから、目的意識が無いと最後までやりきれないと思う」ということも面接で話します。
インターンっていうブラックボックスに自分を一定期間突っ込めば勝手に成長できると思っている人には、そんなものは無い、とハッキリ言っちゃいますね。
-良いことばかりではなく、厳しさも率直に伝えているんですね。採用したインターン生はどのような想いを持った子達だったんですか?
今いる子の中だと、例えば、公務員を目指している子がいます。
何で公務員になりたいか聞くと、公務員になって地域経済の活性化に貢献していきたくて、その中で農業がキーになると思っている。だから、農業と絡めて地域の人達や経済を育てていくことに関われる機会が欲しい、ということだったんですね。
自分の進みたい道とうちのインターンでリンクしていて、「何を学びたいか」が明確だったので、そこまで目的意識がしっかり持てているなら、自分から考えて動いてくれるのではないかと思って採用しました。
インターン生の若さや経験の無さは、武器になるなと感じています
-新規事業でインターンシップを受け入れてみて、どのような点が良かったですか?
経験がないからこそ、怖がらないで何事にもチャレンジしてくれることです。
普通ならそんなこと無理だよと言いそうなことも、インターン生は目をキラキラさせながら「こんなの思い付きました!」って提案してきます。
出来るつもりで動いちゃうから、意外と形になったりするんですよね。
例えば、外部の会社にあるプロジェクトを協力してもらいたい時に、インターン生が先方に提案して、業務提携が実現したことがあります。
僕なんかがビジネスライクに「業務提携しませんか?」って提案してたら一蹴されていたであろうことも、若い子が目を輝かせながら話にくるから、先方も「若いのが頑張ってるから、そこまで儲かりそうにもないけど乗ってやるよ」みたいに物事が動くことがあるんですよね。
インターン生の若さや経験の無さはそれはそれで武器になるなと感じています。とくに新規事業では、そうした強みがすごく活きると思います。
あと、SNSを使うとなったら、学生はお手の物ですね。SNSを使ってマーケティングをしていこうとなったときに、どの社員よりも良いアイデアを出すし、ちょっとやってみようか、となった時もそのスピードがめちゃくちゃ早いです。
「インスタでこんな動画あげてみました!」「おお、そんなにすぐ作れるの?」「簡単ですよ。電車で移動している間でちょこっと作ってみました。」みたいな。笑
SNS周りの学生の力はすごいですね。企業にとってもすごく助かるし、ありがたい力だなと思いました。
-最後に、多くの学生を受け入れた経験を踏まえ、インターン採用を成功させる上で大事だと思うことを教えてください。
学生さんにとって、「本当に価値がある経験をさせてあげる」ということです。
させてあげるなんて言うとおこがましいですけど、そこの意識がなく、会社の都合だけで学生を働かせようと考えていると、結局上手くいかないんじゃないかなという気がします。
最近は、新卒採用の青田買いとしてインターンを導入する会社も増えてきましたが、学生をうまいこと囲って新卒入社をゴールにしようという思惑だけが先走りするのは良くないと思います。
例えば、インターンから新卒採用できたとしても、数年経って、「ああ、うちの会社って上手いこと言って学生を採用していただけなんだ・・・」って分かった時に、その子たちが本当にこの会社をもっと良くしていこうって本気で思うかというと、思わない気がするんですよね。
だから、それよりも、ちゃんとインターンの時に全力で向き合って、自社に入ろうが入るまいが、うちの会社で過ごした時間が大事だったなと思ってもらえる時間を提供した方が、長い目でみたときに会社にとっても得だと思います。
うちの過去のインターン生も今は全然違う会社で働いていたり、結婚して子どもを産んで主婦になっていたり、色々なアクトインディ卒業生がいるんですけど、コロナで「大丈夫ですか?」と連絡をくれる卒業生が多くいました。
中には、別の会社に入ってから、うちに仕事を発注してくれた人もいて、自社の社員ではないものの、本当に卒業生たちが色んな形で支えてくれています。
インターン生であろうが社員であろうが関係なく、ちゃんと向き合って、全力でいい時間を与えてあげよう、という想いで接することが大事かなと思います。