- 社名:かもめエンジニアリング株式会社
- 設立:2008年5月1日
- 従業員数:21~50名
- 学生インターン:累計60名
- 事業内容:ユーザー認証・セキュリティシステム事業
- お話を伺った方:取締役(セールス&マーケティンググループ管掌) 潮村剛様
(2026年10月時点)
営業担当は一人。「誰か手伝ってくれる人が必要」から始まった長期インターン
– 長期インターンを導入されたきっかけを教えていただけますか?
もともとは、通信事業者向けの認証システムを、SIer(システムインテグレーター)と呼ばれる代理店を通じて企業に販売していました。そこから、今の主力製品であるシングルサインオンや、ゼロトラストセキュリティの分野の製品を、新規事業として、自分たちで直接、企業に販売しようという話になったんです。
そうすると、やらなければいけないことが増えますし、何をしたらいいのか手探りの部分も増えます。当時、営業担当は代表の私一人で、新商品の企画やマーケティングもやっていたので、時間も手も足りなくなってきました。「誰か手伝ってくれる人が必要だな」という話になったんです。
ただ、既存の社員も、それぞれ担当している仕事でいっぱいでした。その仕事をやめて、どうなるか分からない新しい取り組みを一緒にやってもらうのも難しかった。
当時は10人ぐらいの規模の会社でしたので、新規事業のために新たに社員を採用して、うまくいかなかった場合のマイナス影響が懸念でした。もう少し小さく始められる形はないかと考えて、まず大学生のアルバイトに仕事を任せてみたところ、うまくいきそうな形が見えてきたんです。
その後、後任を募集する際にゼロワンインターンを知り、利用を始めました。
– アルバイトではなく、「長期インターン」として募集したのは、どのような思いからですか?
契約形態だけでいうと、アルバイトと長期インターンは基本的には同じです。ただ、私たちの中では「長期インターン」という言葉に込めているイメージが少し違います。
アルバイトというと、自分の時間を差し出して、その時間に与えられた業務をやって、対価を得るというイメージがあります。
一方で長期インターンは、その仕事を通じて、何か力を得る、経験を得る、知見を得る。それをさらに次に活かしていくものなんじゃないかなと思っています。
学生にとっても、社会に出る前に「これをやったことがあります」という経験を持つことは、将来の武器になります。
学生に経験や知見を得てもらえるだけでなく、私たちにも実利があると考えました。
一般企業向けの営業活動を新たに始めるので、業務の進め方もゼロから形にする必要がありました。
まずやってみて、うまくいかなければやり方を変える。こちらから方針を変えることもありますし、学生自身が「こうした方がいい」と思えば変えてもいい。そうやって、チャレンジしながら業務の形を作っていってもらいたかったんです。
そこで、インターン生に入ってもらって、この取り組みを任せられないかと考えました。
学生には経験や知見を得てもらえて、私たちも新しい業務を進められる。お互いに得るものがあるなら、成り立つんじゃないかと思いました。
学生の主体性を、会社の成果に。新部署の運営からKPI設定まで
– インターン生には、どのような仕事を任せていますか?
見込み客を獲得し、その後フォローして、商談につなげていく仕事です。マーケティング活動で接点を作り、電話やメールでやり取りを重ねる、いわゆるインサイドセールスを担ってもらっています。
– 実際に仕事を任せてみて、インターン生の取り組む姿勢はいかがでしたか?
自分で考えて動く、自走型のメンバーがとても多かったと思います。
実務を任されて、その実務にどう取り組むかを自分で考えられる。それを面白がって、喜んでチャレンジしてくれていました。
正直、細かく「こうしなさい、ああしなさい」と指示した記憶はほとんどなくて、「これはどういう方向に持っていったらいいですか」「どうなればいいのでしょうか」という相談が多かった気がします。優秀なメンバーが来てくれたんだなと、今も思っています。
– 学生が自分で考え、新しいことに取り組んだ例を教えていただけますか?
インサイドセールスで電話を始めたときは、印象的でしたね。
最初は「みんな電話って嫌だろう」と思って、「電話はしなくていいよ」と言っていたんです。でも、学生たちの方から「メールだと分からないので、電話します」と言い出したんです。
「怖くないの?」と聞いたら、「だって、やらないと分からないので、もうやるしかないです」と。それで、みんなで始めちゃったんですよね。
– インターン生を受け入れたことで、会社にはどのような成果や変化がありましたか?
新しい部署を立ち上げられたことです。今では、インサイドセールスのチーム自体を学生だけで回しています。
私たちは学生たちから業務の状況や結果を報告してもらう形になっています。
学生は、チャレンジすることに躊躇しないんです。
「これをやった方がいいと思うんですよね。やってもいいですか?」と、新しいことにも取り組んでくれます。既存の社員ができなかったことに取り組んで、多くのものは形にしてくれています。
比較的多くのメンバーが、卒業までずっと続けてくれています。
その中で、だんだん自分たちで業務の形を作っていって、「形ができた」と思うところは、自分たちでマニュアルにする。新しいメンバーが入ったら、自分たちで教える。そういう形で回るようになったんです。
こちらが方針を変えたときも、まずやってみて、「この形なら、とりあえず回れそうだ」となったら、またマニュアルを改定して、蓄積してくれています。
場合によっては、興味を持った社員にも教えてくれる。そういうところには、すごく実利がありますね。
– 業務を進めるだけでなく、次のメンバーに引き継ぐ仕組みまで作っているんですね!
ほかにも、学生が担うようになったことはありますか?
最近では、KPIまでインターン生が作っているんですよ。半期の売上目標などが見えると、そこから逆算を始めるんです。
商談のうち何%が成約するのか、最初のミーティングから何%が商談になるのか。そういう数字を計算して、「自分たちは何件ぐらい見込み客を獲得しなければいけないか」を設定しています。
その中で、学生から「今の率で計算すると、この件数は難しいです」と言われることもあります。そうすると、私たちがもう少し商談につながる率や成約率を上げなければいけない、という話になるんです。
そんな調子で、新インターン生採用の際も、学生の誰かが必ず面接に同席し、選考に参加してくれています。
「早く失敗してください」。学生の挑戦を支える社員の関わり方
– インターン生の育成で、大切にしていることは何ですか?
私たちの弱点だと思っているのは、育成のプログラムがないことです。学生が積み上げてくれたマニュアルはありますが、会社として体系的なプログラムを持っているわけではありません。
入社が決まった方には、契約の時に必ず二つのことを伝えています。
一つは、「早く失敗してください」です。やったことのないことをやってもらうので、失敗して当たり前なんですよね。失敗を恐れていたら、何もできなくなってしまう。どんどんチャレンジして、失敗してください、と話しています。
二つ目は、「あなた方に責任は負えません」ということです。実務はやってもらいますが、責任は私たち社員や取締役が負います。そのために私たちがいるんです。
責任を自分で取れない時に、いろいろなことにチャレンジして、失敗してもいいという機会は、これからあまりないかもしれません。
だから、「この環境を力いっぱい使ってください」と伝えています。それが、学生がチャレンジできる背景なのかなと思います。
– 学生の失敗も受け入れながら、挑戦を支えようと考えるのはなぜですか?
私たちができないことをやってもらっている、ということがまずあります。それから、経験を積んで先に進みたい若いメンバーに、早く武器を持たせたい、という思いもあります。
そのために、こちらが少しリスクを負うことは、いいんじゃないかと思っています。
– 学生と接するうえで、大切にしていることはありますか?
なるべく特定の誰かに肩入れしないことですね。業務の相談はどんどんしてほしいと伝えていますが、人間関係の困り事は、まず自分たちの中で解決してもらうようにしています。「こっそり社員に言えば解決してもらえる」という形にはしたくないんです。
ただ、丁寧な対応が必要な場合には、社員が当事者と一対一で話すこともあります。特定の誰かに肩入れせず、必要に応じて、表には見えないところで個別に対応しています。
インターン生の挑戦が、会社全体に新しい風を吹かせる
– 長期インターンシップの導入を検討している企業に、どのようなメリットを伝えたいですか?
新しいことにチャレンジしやすいという点です。私たちのように、既存の社員がそれぞれ仕事を持っている中でも、新しい取り組みを形にできる可能性があります。
そして、若いメンバーが入ってくることで、新しい風が吹くんですよね。
自分たちの息子や娘の世代のメンバーが、こんなにやってくれる、こんなことまでできる。それを見ると、社員も「自分たちもちょっと頑張らなきゃ」という気持ちになるようです。
実際に、自分たちの仕事に近いところで学生が活躍している姿を見られるので、会社全体の活気が出やすくなるというのは、大きなメリットだと思います。


シェア
