- 社名:株式会社TOKUMORI様
- 設立:2021年6月1日
- 従業員数:101〜300名
- 学生インターン:200名
- 事業内容:人材・マーケ支援サービス業
- お話を伺った方:代表 岡見 悠平 様 採用担当 新垣 亮 様
(2025/11月時点)
「学歴以上の価値」を届けたい—インターン導入の理由と手ごたえ
-長期インターン採用を始めようと思ったきっかけを教えてください。
わたし自身が学生時代にインターンや就業体験を経験したことがきっかけですね。
実は、わたしは保育の専門学校から広告代理店のサイバーエージェントグループに新卒で進んだというちょっと珍しい経歴なんです。
学生時代のインターンの経験があったからこそ、人気企業に勤められて、学歴以上の価値が形成されたと思っています。
だからこそ、当社でのインターン経験を通じて、できるだけ多くの学生に成長の機会を届けたいと考えています。そしてその経験が、将来の選択肢を広げ、より多くの挑戦へとつながっていけば嬉しい。そんな想いが、私たちのインターン採用の原点にあります。
– 長期インターンを導入された手ごたえはどうですか。
導入して、3年間の取り組みの中で、最初は育成制度も手探りの状態だったのですが、報酬制度やキャリア設計を経営アジェンダに組み込んで支援してきた結果、学歴や過去にとらわれず新しい選択肢を得る学生が確実に増えてきたという実感があります。
また、当社では、単なる人的リソースの補完ではなく、次世代の即戦力を育てる場としてインターンを活用しています。
その結果、社員と同等の裁量を持った学生がプロジェクトの中心を担い、組織に新たな視点やエネルギーをもたらしてくれていると感じます。
– ゼロワンインターン経由の学生についてはどんな印象をお持ちですか?
特に「インターンをやりたい」という意欲的な学生が多い印象があり、向上心を持つ学生と接点を持てる点で非常に助かっています。
もちろん、私たちが魅力ある内容を提示できなければ採用にはつながらないと自覚していますが、質の高い応募者との出会いに満足しています。
学生に可能性を引き出す「裁量」を与えて、社員の士気も挙げる
– 貴社では、インターン生には、どんな業務を任せていますか?
営業、新規事業、採用、マネジメントなど、正社員と変わらないくらいの裁量を持ってもらっています。チームリーダーとして他のインターン生を束ねたり、外部パートナーとの調整役を任せたりと、責任ある立場で活躍している学生もいます。
– 特に印象に残っているインターン生はいますか?
本当に全員記憶に残ってます。卒業旅行で毎回泣くくらいです(笑)。
そうですね。今、同席してくれている新垣 亮人さんは特に活躍してくれているメンバーです。
– 現在、どのような業務に携わっているか教えてください。
わたしは、現在、大学3年生(27卒)で、沖縄からインターンに参加しています。「東京で就職したい」という思いが強く、リモートでインターンができて、就活支援もしている当社を見つけて応募しました。
正直、最初に想像していた以上のことに挑戦させてもらっています。
たとえば、「ゼロワンインターン」からのインターン生の採用やインターン生の体験談の編集などにも関わっています。さらに、就活支援事業の営業チームではユニットリーダーという役職をいただき、他のメンバーのマネジメントも担当しています。最初の想定をはるかに超えたレベルで多くの経験を積ませてもらっています。
-こうしたインターン生の成長をどう感じていますか?
実は、彼は最初は「パッションだけ」の学生だったのですが、今では、後輩指導やチームマネジメント、採用面接の設計まで担っていて、組織からも信頼される存在になりました。
最近では、インターン生たちが「自分」という主語から「組織」を主語にして話すようになり、組織全体を見て働けるようになってきました。言語化の力もついて、気づけば周囲に頼られる存在になっている。それを見るのが本当に刺激的で、個人的にはたまらなく面白いと感じています。
-学生ならではの魅力についてどう感じていますか?
毎年、最初は“荒削り”だった学生たちが少しずつ自分の立場を自覚し、チームの中で役割を果たすようになっていく姿は、見ていて本当に面白いですね。
学生は、良くも悪くも何も知らない、だからこそ、「できない」じゃなく「できるようになるにはどうすればいいか」とまっすぐ考えられる。線引きがないことが最大の魅力です。
だから1年とか1年半、一緒に走り抜ける環境を設計して、本人が「どうなりたいか」を軸に、経験を積めるようにしています。
-インターンを導入して、会社にどんな影響がありましたか?
インターン生は、私たちの中では「インターン」というカテゴリに縛られることなく、社員と同じように見ています。
実際に、インターン生が社員や業務委託のマネジメントをするケースもありますし、社員チームとインターンチームが互いにライバル意識を持って切磋琢磨しているのは、非常に良い効果だと思っています。
将来の採用母集団の形成とリターン採用
-インターン卒業生が戻ってくるケースもあると聞きました。
そうですね。直近では、過去にインターンとして関わってくれた学生が2年、3年の時を経て再び戻ってきてくれることも増えています。
一度は上場企業や大手企業に就職したものの、「やっぱりこの規模感で挑戦したい」と思ってくれる仲間が多いんです。
卒業後も距離を置くことはなく、社員旅行に来たり、締め会に参加したり、飲み会に顔を出したりと、自然な形でつながりが続いています。
副業として戻ってくる人もいますし、再入社の際も特別なきっかけがあるというより、普段から連絡を取り合っているなかで「またやろうよ」となる感じです。
-インターン生が卒業後に再入社してくれる背景や要因は何だと思いますか?
私たちの組織の規模感や、ある意味での“公私混合”とも言える独特な温度感に魅力を感じて、再び挑戦したいと戻ってきてくれる人が多いと感じています。
最近では会社の体制も少しずつ整ってきていて、報酬テーブルやインセンティブ設計も含め、業界の中でも高水準を目指しています。
感情だけでなく、論理的に「この環境に価値がある」と判断して戻ってきてくれる人が増えているのは、非常にありがたいですね。
もちろん、すぐにまた卒業していくこともあるかもしれませんが、それでも「ここでキャリアを築きたい」「挑戦を続けたい」と選んでくれることが嬉しいです。
フルリモート勤務の“見えない不安”を、チームの力で支える仕組み
– 貴社のインターンはフルリモート勤務ですね。フルリモート勤務を取り入れているのはなぜですか?
インターンで働く挑戦の場を提供するという目的があるので、全国どこにいても、あるいは海外からでも、一定以上のコミットメントがあれば受け入れたいと思っています。
実際に、沖縄・北海道・韓国などから学生が長期インターンに参加しています。
– リモート勤務では、どのようなことに気を付けて運用していますか?
リモートでも気軽にコミュニケーションが取れる機会をつくっています。
私たちは、Slackを活用して稼働状況やコミュニケーション量を可視化したり、オンラインオフィスを立ち上げて日常的に相談や雑談ができる場をつくったりと、リモートでも密なやりとりができる環境を整えました。
Slackでは、スタンプやレスのラリーも活発で、出社こそしていないものの、いまでは社内にはしっかりとしたコミュニケーション文化が根付いていると感じています。
また、「動いていない人を怒る」のではなく、「どうカバーしに行くか」に重きを置いた体制づくりを大切にしています。
細かくチームを分けて責任と役割を明確にし、それぞれにキーパーソンを配置することで、チームで挑戦する文化を育てています。
– インターン制度を運用するうえで、大切にしている価値観やスタンスはありますか?
私たちは、学生インターンを安価な労働力として扱うつもりは一切なくて、「どうすればこの人の人生をより豊かにできるか」「うちに入社してもらえれば、誰よりも成長させられる」「多くの選択肢を持てるようにしてあげたい」という覚悟を持って学生と向き合っています。
「日本で一番インターン生が輝ける組織」へ
-インターン導入の今後の展望を教えてください。
現在は、インターン生は、200名程度在籍していますが、来年までには、インターン生を含めた全体で700名規模の体制を目指しています。
その上で、「日本で一番インターン生たちが輝ける組織」を本気でつくっていこうと考えています。
-インターン生の採用拡大に力を入れているのはなぜですか?
インターン生の中から再び戻ってきてくれる人材が、これからの当社の中心を担っていくと考えているからです。
実際にインターン卒業後に大手企業などに就職した後、「また挑戦したい」と戻ってくれるケースも増えており、こうした人材の存在は当社の強みだと捉えています。
さらに、インターン卒業生が就職先で後輩の面談を担当するなど、他社でもネットワークが広がっており、この繋がりが新たな採用にも好影響を与えています。
今後は、より体系的に卒業生との関係を構築していくことで、持続的な人材戦略を実現したいと考えています。
– 最後に、インターン導入を検討する企業へのメッセージをお願いします。
現在、弊社では国内でもトップクラスの規模でインターン生を受け入れており、他社の方から「どうやってインターン採用を進めているのか」とご相談いただくことも多くなってきました。
そうした際に必ずお伝えしているのは、「安価な労働力としてインターン生を捉えるのは絶対にやめた方がいい」ということです。単に時給が安いからとか、駒のひとつとして扱うような考え方では、採用もうまくいきませんし、何より学生がついてきてくれません。
確かに、インターン生を受け入れるには相応の労力もコストもかかります。しかし、それを上回る価値を会社として見出せるのであれば、採用する意味は十分にありますし、その覚悟がまず必要だと思っています。
また、何より大切なのは、学生と会社の間にウィンウィンの関係をどう築けるかです。私は、報酬には「金銭的な対価」「情報収集の機会」「成長実感」といった少なくとも三つの側面があると考えています。
インターン生一人ひとりが、どの報酬に一番価値を感じているのかを理解し、その期待に応えられるような設計を丁寧に行うことが、インターンシップ制度運用の鍵になると思います。
だからこそ、長期インターンの受け入れには、正社員の採用以上に計画的に取り組み、オンボーディングもより丁寧に行う必要があると考えています。
そうしないと、せっかくの学生の可能性を潰してしまいかねない。インターン導入を検討されている企業の皆さまには、ぜひその点は大事にしてほしいなと思っています。
もちろん、インターン制度を導入することは、企業にとっても大きな価値があります。
インターン卒業生が再び戻ってくるケースも増加しており、信頼関係を築いた上での再入社という形で中長期的な人材獲得にもつながっています。外部エージェントに依存せず、社内育成によって優秀な人材を確保できる点は、スタートアップにとって非常に大きなメリットかと思います。


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