- 社名:株式会社OSD様
- 設立:2020年6月
- 従業員数:37名
- 学生インターン:27名
- 事業内容:引越プラットフォーム「引越マルシェ」の運営、ライフラインサポート、金融事業、営業支援事業
- お話を伺った方:副社長 吉水健人様
(2024/12月時点)
優秀な学生との出会いー社員同様の仕事を任せられる
-まずはじめに事業内容を教えてください。
当社は、引っ越しに関するサービスを中心に事業を展開しています。プラットフォーム「引越マルシェ」は、引っ越しの見積もりから引っ越し後のサポートまで一貫したサービスの提供を行っています。
今後、拡大を予定している分野として、金融関連の事業にも取り組んでいます。その中でも、「FPマルシェ」というサービスを展開中で、ファイナンシャルプランニングに関する支援サービスとして、スケール化を目指しています。
さらに、弊社の強みである営業力を活かして、営業支援にも取り組んでいます。
‐今回、インターン生にお任せしているお仕事は「引越マルシェ」に関わる業務とのことですが、具体的にはどのような仕事内容なのでしょうか?
はい、主に「引越マルシェ」の営業やプランニング業務を担当してもらっています。具体的には、「引越プランナー」としての役割です。
基本的には、電話を通じたお客様対応が中心です。お客様から引っ越しに関するニーズをヒアリングし、その情報をもとに、提携する約50社の引越会社の中から最適なプランを選定します。その後、選定した3〜5社の見積もりをお客様に比較提案し、ご納得いただけたプランで正式に引越手配を進めるという流れです。
‐貴社の引っ越しサービスの一連の流れに関わる実践的で責任のある業務ですね。
そうですね。お客様とのやり取りだけでなく、引越会社との調整も行います。トラックの手配など、引越当日までの準備を全て担当するので、社員と同等の責任ある業務を任せています。
‐50社もの引越会社のプランを理解し、お客様に最適な提案をするのは、高度なスキルが必要ですよね。どのように仕事を任せたんですか。
最初は簡単な業務からスタートしてもらい、徐々にスキルを身につけてもらいます。ヒアリングから金額提示、最終的にはトータルで業務をこなせるようになります。
‐この業務をインターン生ができるようになるまでは、どのくらいかかるのですか?
通常だと6カ月以上かかって覚える一連の業務を、早い人だと半分の3〜4ヶ月で習得しています。これには私たちも驚かされます。学生って本当に優秀だなと感じることが多いです。
-長期インターン採用を通じて優秀な学生に出会えたんですね!貴社が長期インターンシップを導入されたきっかけを教えてください。
以前、学生向けの就活相談会を開催したことがあるのですが、その参加者の中に「インターンをやりたい」と声をかけてくれた学生がいました。
その学生との出会いをきっかけに、インターンの受け入れをスタートしました。
これまでもアルバイトで学生との接点はありましたが、そのインターン学生は非常に優秀で、インターン志望の学生と、アルバイト志望の学生とは「質が違う」と感じ、「インターン採用の方が優秀な人材を集められるのでは」という仮説が生まれました。
ただし、知り合いづての採用は数に限界があったため、現在はゼロワンインターンを活用し、効率的に長期インターンを採用する戦略に切り替えています。
‐インターンシップの学生の「質が違う」というのは具体的にどういうことですか?
そうですね。まずアルバイトと比較した場合、インターン生の「意識の高さ」が圧倒的に違います。
アルバイトを雇ってみると、正直なところ質があまり良くなかったんです。アルバイトとして来る学生と、インターンとして来る学生では、学生の目的意識の違いが顕著で、それに伴う行動も全く違うんです。
あと、中途採用との違いという観点で言うと、学生はまだ社会を知らない分、すごくピュアで誠実で吸収力がとても高いです。こちらが伝えたことを素直に受け取って、必ず吸収してくれる。それが本当に中途採用との大きな違いですね。
中長期的な採用戦略で叶ったインターン採用事例
‐インターンに参加する大学生は、目的意識をしっかり持っていると感じられたんですね。では、貴社ではインターンをどのように活用されてきたのですか?
長期インターンを採用しようと思った理由が二つあります。
一つ目は即戦力として活躍してほしいということ。そしてもう一つは、将来また戻ってきてほしいと思ったからです。
実は弊社の戦略として、このインターンの活用は中長期的な採用の戦略でもあるんですね。
私たちは『就活サポートをします』と積極的に伝え、実際に丁寧なサポートを行っています。
本当に大手企業に行ってもらいたいんです。大手に行くことで、もし弊社に戻ってきてくれるとなると、最初の採用時の研修や人的リソースのコストがなくなるんですよ。
なので、ある程度のベースができて、大手での知見や経験を持って弊社に戻ってきてくれる。これが非常にメリットなんです。
ですから、時間はかかりますけど、中長期的に戻ってきてもらうために、あえてインターン生を大量に採用しているんです。
本当に実現可能かはわからないですが、今後一年かけてインターン生を100名にしたいと思っているんですよ。
‐今後は100名を目指すということですが、現在インターン生は何名いらっしゃいますか?
インターン生は27名ですね。
‐実際に、インターン生が戻ってきたケースはあるのですか?
はい!実際に、インターンの1期生が入社するんですよ。大手証券会社に勤務していて、社長賞を取るくらい、すごく優秀なトップセールスでした。
‐どういう経緯で戻ってくるということになったんですか?
もともとインターンをしていた時から、「いつか戻ってきたい」と言ってくれていました。でも、本音かどうかはわからないじゃないですか。就職先も一旦は決まっていますし。
ただ、私たちは、インターンのOBと今も関係を持ち続けているんですね。例えば、OB用のLINEグループがあったり、OB会を開いたりしています。
そういった場で卒業したインターン生と適宜コネクションを取れるんです。その際に「仕事どう?」とか、「また戻ってこない?」みたいな軽い会話をしたりします。
そんな会話をすると、社会に出るといろいろな現実が見えてくるので、現状の不満や「インターンをしていたあの場所は楽しかったな」「一緒に成長できるあの環境に戻りたいな」と思ってくれることがあるんですね。
弊社の長期インターンシップを経験しているので、お互いの仕事の仕方や人間性を理解し合っています。そのため、再入社した際にギャップがなく、スムーズに馴染めるのも大きな要因になっているのではないかと思います。
‐ご本人から再就職にあたり「貴社が良かった」ポイントは、何か聞けましたか?
そうですね。一つは「人」だと思います。自分で言うのは恥ずかしいですが、社員を含めて「人が良い」と感じていただけたのかなと。
代表と私で会社を立ち上げたんですけども、今のインターン生も含めて学生との距離が非常に近いと思っています。プライベートの話から就活の相談まで、本当にいろんな話をしているので、その距離の近さが良いところの一つかなと思います。
あと、インターン生からアドバイスをもらうこともあります。その意見をしっかり取り入れて、改善するようにしています。
学生の意見が通りやすい環境というのは、弊社の特徴の一つだと思います。
大手企業だと意見が通りにくいことが多いですが、弊社ではそれがギャップになって、「こういう会社で働きたい」と思ってもらえることもあるんじゃないかなと思っています。
‐長期インターンを通じて中長期的な採用が成功した事例ですね!
これをもともと戦略として最初からやろうとは思っていたんです。ただ、まだ一例でしかありませんが、今後はこれをさらに増やしていきたいと思っています。
面接では、アルバイトとインターンシップの違いを明確に
‐採用時にミスマッチを防ぐための面接時のポイントはありますか?
インターン採用の面接のときに必ずする話があるんです。
「アルバイトの目的って何ですか?」と。質問をすると、大抵の方が「お金を稼ぐこと」と答えると思うんですね。
そこで、こんな例を出します。「早くバイト終わらないかな」「今日バイトめんどくさいな」って言っている学生や友達、身近にいませんか?と。
そういう話をすると、「いますね」と答える方が多いんです。これって結局、アルバイトの目的がお金を稼ぐことになっているからなんですよ。
一方で、「インターンの目的って何ですか?」と聞くと、ほとんどの学生が「成長するためです」と答えるんです。
ここではこう伝えます。「成長を目的としているのに、『早く終わらないかな』『めんどくさいな』って言っている人は矛盾していませんか?」と。
だからこそ、アルバイトとインターンでは意識の差が全く違うんです。
そして、その意識の差があると、成長のスピードも全然違いますし、仕事を覚える能力にも大きな差が出てきます。
さらに言えば、雇用する側としても、インターン生の方が一緒に仕事をしていて気持ちが良いんです。
同じ給料を払うなら、やっぱり気持ちよく一緒に働けて、成長を共に目指せる学生と仕事をしたいと思うんです。だからこそ、インターン生を採用していますと。この話は面接のときに毎回お伝えしています。
‐なるほど。採用面接のときにその違いをしっかり学生に伝えているんですね。「インターンはアルバイトとは違うんだよ」と丁寧に説明することで、学生にもその意識の違いが伝わりますね。
そのほかにも、面接時にミスマッチを防ぐために伝えていることはありますか?
必ず締めで言っているのが、「インターンという名目ではあるけれど、学校だと思ってください」ということです。
実践に近い学校のような場所だとお伝えしています。
「ここはビジネスを学び、営業を学び、社会についての勉強ができる場所です」と説明しています。
本来、学校というのはお金を払って通うものですよね。でもインターンの場合は雇用契約ですから、お金をいただくことはありません。むしろこちらが給与をお支払いする立場です。
それでも、スタンスや考え方としては「学校」だと思ってくださいと話しています。
なので、「成長欲がない子は採用しない」ということも、明確にお伝えしています。
‐インターン生と働いてみて、社内への影響はありましたか?
優秀であればあるほど、弊社社員の底上げにもつながります。「学生がこんなに頑張っているのに」「学生がこんなに優秀なのに、自分たちは何をしているんだ?」と、社員自身が思うようになるんです。
‐インターン生の活躍が社内にも良い影響を与えているんですね!では、応募の質や数にはご満足いただけていますか?
そうですね。はい、満足しています。
長期インターンを導入することで、新卒では採用できないような高いクオリティの人材を確保できる可能性があります。
例えば、弊社では東京大学や慶応義塾大学の学生がインターンとして来てくれますが、中小企業が新卒でこうした出身大学の学生を採用するのは難しいのが現実です。インターンだからこそ来てくれるのです。
また、今まで見たことないぐらいのクオリティの高い学生がいることにも驚いています。ただ、ものすごく理想を言うと、もう少し採用したいとは思っています。
長期インターンを導入して企業として利益につながった実感はありますか?
はい!大きく貢献してくれています。
正直、インターン生がいなかったら、ここまでのスピード感をもって事業を成長させることができなかったかもしれません。それほどインターン導入の効果は大きいですね。
学生の価値を再認識するー経営陣の意識が採用成功のポイント
-最後にインターンシップの導入を考えている企業様にメッセージをお願いします。
企業様の業態や職種によっては、インターン生の活用が非常に有効です。
特に、インターン生は優秀で、短期間で目に見える成果を上げることが多いです。
その理由は、彼らの成長意欲が非常に高いことにあります。アルバイトとは異なり、インターン生は実務を通じて学び、自己成長を目指す姿勢を持っているため、短期的にでも貢献できる可能性が高いのです。
さらに、学びのある環境を提供すれば、インターン生は大学4年生の最後まで継続して勤務してくれることが多く、中長期的な視点での採用候補生として育てることができます。
実際、インターンシップに参加した学生が中途採用で再び企業に戻ってくるケースも増えており、これは企業にとって非常にメリットがあります。
中途採用の際に、インターン経験者を迎え入れることで、採用費用や労力を削減できるだけでなく、学生時代の働きぶりを知っているため、安心して採用を決めることができます。
さらに、新入社員研修の負担も軽減され、スムーズに業務に適応させることが可能になります。
また、学生にとっても一度企業での中長期的な勤務経験を得ることで、入社後のギャップを感じることなく、早期退職や転職リスクを減らすことができます。これにより、企業と学生双方にとって非常に有益な関係が築けるのです。
インターンシップは、単なる短期的な人材確保に留まらず、中長期的な採用戦略にも貢献できる重要な施策です。企業様にとっても、インターン生の活用は今後の成長を支える重要な鍵となります。
現在、インターンシップ採用戦略はまだ実証段階ではありますが、弊社としてはその効果を実感しています。実際に、インターンシップを通じて、採用後のミスマッチを減らし、業務の即戦力となる優秀な人材を確保することができています。この戦略が成功していると確信していますので、ぜひ一度インターンシップの導入を検討していただければと思います。